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事例1281 「基礎高さ不足」
一年で一番、検査がしやすい気候は5月。
昨日は、遠方への出張先で、5月のような気候の
中、快適に検査ができました。
■(1)今回の事例_____________
「基礎高さ不足」
______________________
◆写真解説
長期優良住宅の家。地面からの基礎の高さが低い。
本来、劣化対策の規定で400mm以上必要
(基準法は300mm以上)。
◆内容説明
周囲の地盤の埋め戻し土が高く、基礎の高さが確保
されていない。
原因は、外構工事との連携が悪い、元々のGL設定に
ミスがあるなど。
長期優良住宅などの適合に関係なく、400mmの高さ
を標準としている家が多く、400mmは一般的な高さ
です。
地面に近いほど、湿気や雨の跳ね返りの影響を受けや
すく、400mm以上確保することが重要です。
◆対策
設計時からGL設定に注意し、外構工事においては、
地盤高さを守らせる。
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■(2)編集後記
建てる前の個別相談に来れれる方が、よく口にする
のは、「もっと早く来ればよかった」
面談では、普通では知ることができない、メーカー
ごとの性能等の情報に加え、品質レベル、アフター
サービスの対応などの情報もお伝えします。
検査業務と、多くのハウスメーカー相手の争いに
おいて得た情報なので、他では聞けない話しばかり
です。
よくある反論内容
裁判中の物件。初回の反論が来ました。
毎度のこと、確認申請の中間検査に合格している
。検査済証が下りている。瑕疵保険の検査が合格
しているという内容が多い。
今の時代、これらに合格していることは、当たり
前で、合格していない家の方が珍しい。
ミスは明らかで、これ以外の反論が思いつかない
と思います。
お決まりの反論なので、これに対するこちらの
反論も決まっています。
希望した家でない
完成した家が、希望した仕様や性能と違うという
揉め事が多いです。
内容は、耐震性や省エネ性、バリアフリー等。
紛争になっている例のパターンは
1,建築主の要求に対し、営業や設計者が理解を
誤る。建築主の伝え方が悪いか、担当者が
無知で、違う理解をする。
2,建築主の要求内容を、図面化する途中で、
誤る。変更などに対応できていない等。
3,建築主の要求を理解し、図面は作成したが、
希望した性能が出ない。設計者や施工者の
技量不足。
完成してからでは、修理や解決は大変。また、
言った言わないになる例がほとんどのため、
希望する内容は、口頭ではなく、書面に書いて
渡しましょう。
図面を見ていると、情報が少ないものが多い。
家の仕様(長期優良住宅、フラット35S、
省令準耐火構造、住宅性能評価など)や床面積
などの情報も書かれていない図面も多いです。
建築主も、最終図面を確認する際は、希望した
内容が図面に書かれているか、確認すると良い
です。
事例1280 「鋼製束変形」
昨日の夕方、あるYouTubeチャンネルにゲスト
出演してきました。
雑談的な話を1時間弱しました。編集後に公開
される予定。公開されましたら、告知いたします。
先回、いろいろな秘密を知っているということを
書きました。今回はもちろん、きわどい話は、控
えたつもりです。
■(1)今回の事例_____________
「鋼製束変形」
______________________
◆写真解説
鋼製束の変形。工事中、重量物を落としたことが
原因。
曲がった分、床が下がり、そのまま完成した。
◆内容説明
完成検査で床下にもぐり、発見。
工事中、フローリングを貼る前に重量物が床に落下。
合板などに目立った損傷はなかったので、そのまま
仕上げた。
大引きなどに損傷はなく、鋼製束だけの被害。
床に傾斜があったため、束の交換と水平修理を指示
しました。
束は1階の積載荷重を支える材料。スチール製で
細いため、大きな衝撃があれば、曲がります。
(完成後、少しものを落としたくらいでは、曲がる
ものではありません。)
◆対策
完成時の床下検査を実施したか、施工会社に確認
しましょう。
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■(2)編集後記
これから、いくつか建て替え要求を出していきます。
適当に建て替えだと言っているのではなく、検査し、
その後、再計算など必要な検証も実施した上での
判断です。
それでも、相手が拒めば、設計性能を回復できない
補修で妥協するケースもあります。
かなりの頻度で建て替えが必要な現場が出てくる
ため、知らないだけで、同じような家が、かなり
あると思います。
先月検査した家は、建築基準法の耐震基準が全く
守られていなくても、確認申請が下りてました。
(構造審査省略物件のため、ノーチェック)
これに関しては法改正が控えているので、将来的
には無くなりますが、構造審査が必要になれば、
構造計画のミスが増えると予想しています。
事例1279 「天井石膏ボード未施工(省令準耐火構造)」
先週、急カーブ、急勾配の山道を近道として選択。
平地は雨でしたが、標高の高い場所は雪で、15
CMほど積雪してました。
昨年3月も道の選択を間違え、大雪の中、高速
道路の通行止めぎりぎりで帰ってきたことがあり
ます。
雪の予報がある時は、近くても標高の高い道路を
選択してはいけないですね。
■(1)今回の事例_____________
「天井石膏ボード未施工(省令準耐火構造)」
______________________
◆写真解説
省令準耐火構造仕様の家。
ユニットバス部の天井石膏ボードが張られていない。
施工者の知識不足。
◆内容説明
最近、省令準耐火構造の施工不備は減っています。
それでも、第三者検査に入られたことが無い業者は
基準を理解しないまま施工しているケースが多い。
写真は、ユニットバス部の天井。石膏ボードの施工
がない状態は基準に適合しません。壁も同様です。
◆対策
省令準耐火構造は、役所や保険の検査ではチェック
してもらえません。
完成してから指摘をすると修理が大変なため、業者
に知識がない場合は、工事中にチェックを入れる。
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■(2)編集後記
有名なメーカーや設計事務所などの知られたくない
情報をたくさん知っています。
仕事上、情報を得る機会が多いためで、おそらく、
私以上に情報を持っている人は、少ないと思います。
これらの会社、事務所への依頼を検討している方に
とっては、ものすごく価値がある情報ですが、重大
な件は、「秘密保持契約」にサインさせられている
ため、公表することはできません。
最近、SNSでの情報拡散が早いため、企業側も不祥事
を隠すのに必死になっています。
住宅瑕疵担保責任保険
欠陥検査で構造瑕疵が発覚。
施工者が廃業しているため、保険会社へ弁護士から
保険適用になるか問い合わせをしたところ、
「実際に何か現象が起きていなければ対象外」との
返事が来た。
構造耐力に関しては、大地震などが来て壊れないと
保険の対象にならないようです。
それでも、大地震時に破壊した場合は、住宅瑕疵担
保責任保険ではなく、任意で契約する「地震保険」
を使うことになります。
構造でも、耐力壁が雨漏りで腐朽するなどのケース
は、雨漏り被害の現象が起きているので、保険適用
になります。
構造に関して、保険でのバックアップは期待しない
方が良いです。
耐震等級3
トルコ地震の被害状況を、昨日TVで見ました。
想像していたより、建物がひどく崩壊しています。
倒壊の原因は、おおよそ予想が付きますが、詳し
い情報を拾っていきたいと思います。
日本の住宅においては最近、SNS等の影響で、
耐震等級3の仕様が増えています。
等級3は最高等級。同じ等級3でもぎりぎりの家
、5割増し強い家など、耐力に幅があります。
大手メーカーは、耐震等級3が標準仕様になって
いる会社が多いですが、大半は、ぎりぎりで設計
されています。(何社か、計算書の結果を確認し
てます)
別の言い方をすれば「経済設計」。売値、原価を
抑えるため、そのようなシステムになっている
ようです。
ぎりぎりの設計は、構造部材の耐力が机上の数値
より劣る場合や施工不良、計算や構造図と現場の
不整合等による耐力低下をカバーできません。
(実質、耐震等級3の性能がない懸念があります)
1,2割くらいの安全率を見込むべきだと思います
が、そのような考えはないようです。
既存住宅の耐震改修工事計画では、どのくらいまで
耐震性を上げるか、数字で示すことが多いです。
(基準の3割増しなど)
安全率を上げるほど、コストがかかりますが、選択
ができるので、建築主も納得できます。新築におい
ても、建築主が構造耐力の安全率を選択できると良
いですね。
紛争処理
今現在、紛争処理をサポートしている物件のうち、
一昨年、検査した現場にたくさん動きがあります。
話し合いの最中、これから裁判、裁判途中と状況
は、いろいろです。
指摘内容にもよりますが、住宅紛争は、解決までに
時間を要します。最近、話し合いに参加した現場も、
検査してから2年。未だ、合意に至っておりません。
同じく2年前に検査した現場の裁判が、延期になり
ました。
裁判所の判断がかなり偏っているため、延期を期に
状況が変われば良いと願っています。
15年ほど前も、今回と同じ理由で、裁判が延期に
なった現場があります。判決をもらう直前、家自体
に明らかな異変が生じ、それを追加主張したところ、
裁判所の判断が覆りました。
延期がなかったら、裁判で負けていた可能性が高く
依頼者の運を強く感じました。
冬の備え
今日の欠陥住宅検査の場所は、山中の現場と認識
していましたが、その地域は、あまり雪が降る印象
がなく、天気予報も3月上旬の気温と言っていたの
で、雪の警戒をしていませんでした。
現場に近づくにつれ、積雪しているところが増え、
現場へ上がる細い山道は、アスファルトが完全に
雪で覆われていました。
スタッドレスタイヤが役立ったのは今季2回目。
豪雪地帯に呼ばれても、行けるような装備をして
おります。
現場は、ほぼ終日、弱い雪が降っていました。
最高気温は2度。広い床下を動き回っても、汗を
かかない、非常に寒い一日でした。
品質管理の実施具合
先週、完成検査で伺った現場。明らかに床下含め
社内検査を細かくしていることが現場を見て分か
りました。
良い例なので施工者名を出すと「秀光ビルド」
支店や担当者、職人によって、ばらつきがありま
すが、会社として、品質管理に力を入れている
ようです。(昔、マスコミに欠陥住宅で叩かれた
ことで、再発防止策を講じていると思います)
その一方で、ある躍進中の会社は、社内検査が
行われていません。監督が忙しいため、検査を
する時間がないようです。
今、品質管理ができていない会社は、来年、残業
規制が開始されると、より品質が疎かになるので
はないかと懸念しています。
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