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指摘後の仕様変更
1,2年前、大手ハウスメーカーの現場で断熱欠損を
指摘しました。
比較的大きなものですが、目視では確認できない部位で、
赤外線サーモグラフィーカメラ撮影で発見しました。
最初は、静岡県の現場、2件目は愛知県の現場。
支店が違っても同様だったことから、標準的な施工方法
だったと思います。
今月、久しぶりにこのメーカーの現場検査に入りました。
気になって、以前指摘した箇所を確認すると、施工方法
が改善され、断熱欠損が解消されていました。
担当者に聞くと、施工仕様が最近、変更になったとの
こと。
私の指摘がきっかけかどうかは、分かりませんが、
仕様改善されたことをうれしく思いました。
不具合が隠れている
近所の建物の解体で、大きな振動が発生したこと
がきっかけで、家を注意深く見るようになり、
いろいろ、家の不備に気づく方が多いです。
先日、依頼を受けた件は、近所の解体の影響で
地盤沈下が生じたという依頼でしたが、検査の
結果、新築時の施工不良が原因でした。
注意をしなければ、不具合に気付かないものです。
完成後の家の検査依頼を受けると、問題ありません
という家は、ほぼないです。
ちょっとした不具合が気になり、欠陥住宅調査を
依頼し、重大な不具合を発見するパターンも多い
です。
家を買う時、工事中または、完成時に検査を入れる
ことを強くお勧めします。
最近、分譲住宅の完成検査の指摘で、天井を落とし
たり、壁を剥がして修理をした家が3件あります。
事例1273 「エアコン内のカビ」
欠陥住宅検査などの丸1日かかる検査は、月内の予約
受付を完了。来月は、未だ日程に余裕があります。
相談類の枠も、今月はほぼ、埋まりました。
■(1)今回の事例_____________
「エアコン内のカビ」
______________________
◆写真解説
エアコン内のカビ。室内のカビの汚染がひどいケース
では、エアコン内もカビで真っ黒けになる。
根本的な原因を取り除かないと、クリー二ングしても
すぐに再発する。
◆内容説明
家の中に大量のカビが繁殖すると、エアコン内のカビ
の繁殖もひどくなる。
エアコン内にカビが付くと、少々でも室内がカビ臭い。
写真の程度までになると、住んでいるのが危険な状態。
◆対策
カビ繁殖の程度が、問題あるか、ないか判断し、問題
があるレベルであれば、原因を突き止め修補する。
原因やカビを放置すると、年々、カビの量が増えて
きます。
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■(2)編集後記
工務店の事務員さんが気を利かせて、瑕疵保険の配筋
検査と私の検査時間をずらして予定を組んでくれた。
前日、監督さんから「瑕疵保険の検査はすぐ終わるから、
瑕疵保険と同じ時間に来て欲しい」と予定変更の電話が
ありました。
監督さんは、早いと5分くらいで検査員は帰ると言って
いました。
ある保険会社は、検査ではなく、確認業務だと言ってます。
確認だけなら、今の時代、遠隔で行えば、検査料を安く
できます。
メーカーへの質問
不具合施工の裏付けを取るため、メーカーに質疑を
出すことがあります。
数ケ月前、大手塗料メーカーに質疑を出した際は、
無視されました。
今回、構造に関わる重大な内容の質疑を建材メーカー
に出したところ、即日、回答があったものの、回答は
簡単なものでした。
質問する際に、こちらの情報を開示するため、
メーカー側も裁判に使うのではないかと、警戒すると
思います。
メーカーの顧客は、設計事務所や工務店のため、自分の
お客さんが不利になるような回答は控えて当然ですね。
忙しい業界
建築業界は、現在、景気がよい印象がありません。
しかしながら、実際は忙しい会社が多く、
急ぎの依頼などに対応できていないようです。
ある会社は、見積もりが出るのも3ケ月待ちの状態。
年々、仕事量は減っているものの、それ以上に
働いている人が減っているため、忙しいと思います。
この先、さらに60代以上の引退が増え、人手不足が
深刻となり、職人、社員の引き抜きが加速するでしょう。
ある大手も、ラジオCMで大工さん募集の宣伝を流し
始めました。
この流れを受け、資材高の次は、労務費UPが進むと
予想しています。新卒の離職率が高く、すでに初任給、
給与を大幅に上げた会社もあります。
また、労働時間短縮も国から求められるため、職人単価
も上がっていくと思います。
ウッドショックが落ち着いても、値上げの傾向は続き
そうです。
事例1272 「梁、緊結不良」
検査の指摘を無視するケースが稀にあります。
自分に跳ね返ってくるのに、どんな理由で無視を
するのか、理由を尋ねてみたいです。
おそらく、理由はなく、ただ、やる気がないだけ
だと思いますが。
■(1)今回の事例_____________
「梁、緊結不良」
______________________
◆写真解説
梁接合部、ボルトによる緊結未施工。
同じような箇所が他にもあり。
地震時に梁が抜けて倒壊につながる可能性あり。
◆内容説明
木構造の接合ボルトの抜けや緩みは、よくある事例です。
数が多いので、チェック漏れが起きやすい。
写真は、ナットを入れていないので、引っ張られると
スポッと抜けてしまいます。
けれど、他の梁の絡みがあるので、そうはならない可能
性が高いですが、継ぎ手はきちんと緊結しておく必要が
あります。
◆対策
見落としがないよう、複数の目で検査をする。
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■(2)編集後記
11月は、スケジュールの余裕がありませんでした。
週何時間働いているか計算したことはありませんが、
スケジュールがきつく、休みもない時は、軽く週80
時間は超えていると思います。
経営者の方は、業務はスタッフに任せているケースが
多いですが、私は自ら、現場に出て、書類も書いて
います。つまり、働いた分、検査業務の経験が増えま
す。平均的な労働時間の倍働けば、経験も倍です。
また、他所が首を突っ込まない、ややっこしい業務を
受けるので、経験している内容も濃いです。
ペースを落とそうと考えながら、紹介による依頼は
ほぼ無条件に受けてしまうため、紹介案件が重なると、
猛烈に忙しくなります。
ブルーインパルス展示飛行
昨日の午後、岡崎公園近くの現場予定がありました。
たまたま、愛知県政150周年記念のブルーインパ
ルス展示飛行の通過時間前で、国道1号線は大渋滞。
岡崎公園付近はものすごい人が集まっていました。
現場には通過予定時間の20分くらい前に到着。現
場周囲もかなりの人混みで、何かパフォーマンスが
あるかと期待し、予定5分くらい前に職人さんたち
と3階建ての屋根(ほぼフラット)に上がりました
(足場がある状態)。
屋根の上で障害物がないため、よく見えましたが、
ただ、通過しただけ。速度が速いため、あっという
間に通り過ぎ、職人さんたちからも終わり?と声が
でるほど、期待外れでした。
事例1271 「壁内結露改修」
今年、この時期にしては、暖かいです。
例年ですと、11月10日くらいから、この地方では
暖房を入れ出す家が多いですが、今年は、未だ暖房を
入れていない家も多いかと思います。
天気予報をみると12月に入ると、いきなり気温が平年
並みになるようです。
■(1)今回の事例_____________
「壁内結露改修」
______________________
◆写真解説
壁内結露の改修工事。
被害がひどかった外壁の合板を張り替えた。赤丸部の
黒い箇所は2×4上枠の結露あと。
この箇所は交換不可能なため、薬剤処理を実施。
◆内容説明
通気層と断熱材の施工不備により、壁に結露が発生、
家全体の外壁を改修した。
内容は外壁材、構造用合板の貼り替え、断熱材の交換、
クロス、石膏ボードの貼り替え。
撤去時は立会できなかったが、聞き取りによると、
壁を撤去したところ、下駄箱など、壁に密着してものが
ある箇所の被害がひどかったそうです。
エアコンの影響がない玄関部等においても、壁に物が
密着していると、壁内が湿気やすいことがわかります。
この家、壁内結露の被害に対し、裁判を行いました。
内容の詳細は書けませんが、カビの裁判が増えています。
◆対策
数年で構造金物が錆びるなど、欠陥改修時に、壁内結露
を確認することが多く、珍し事例ではありません。
壁内結露防止は、施工がきちんとしていても、設計仕様が
ダメな場合があります。設計仕様からチェックする。
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■(2)編集後記
施主からのクレームで対応に大変な思いをしたにも関わらず、
改善をしない会社がほとんど。これは大手でも多いです。
例えば、木造で躯体組み立て中に雨に濡れ、水分が残り、
完成時に床下などがカビだらけになる例。
今日、事務所近くの現場で、雨の中、土台伏せ、1階床組
作業が行われていました。
上場企業の現場ですが、雨に濡らすなという指示が、会社
から出ていないと思います。
分譲なので、売れていなければ、文句を言う人はいない、
工期優先でやってしまえと言う考えだと思います。
検査で現場を見させていただくと、経営者が品質に関心が
あるかどうか分かります。
反論2
裁判中の物件において、意見書に対する反論が返って
きました。先月、今月は数が多いです。
数回、読み返しましたが意味がよくわからない。
弁護士もわからないと言っていたので、
私の読解力の問題でもなさそうです。
非を認めてしまえば、それで終わってしまうので、
相手はいろいろ考え、主張してきます。
一見、まともな反論に見えるあたりは、さすがだと
思いますし、別の意味で勉強にはなりますが、
再反論の手間を考えますと、迷惑でしかありません。
このようなやりとりは、裁判が長引く原因の一つです。
反論
裁判中の物件。検査での指摘内容について反論が
来たため、内容を確認したところ、
全く、内容が嚙み合っていませんでした。
裁判中のため、内容は公開できませんが、例えば、
基礎で鉄筋のことを指摘しているのに、コンクリ
ートについての資料を出して、問題がないと言っ
ている。
おそらく、建築会社は裁判を全て弁護士に任せ、
技術的な協力をしていないと推測できます。
最近、労働時間短縮のために、紛争事を弁護士に
丸投げする会社が増えつつあります。
紛争処理から手離れすることで、自分たちの労働
時間やストレスは減りますが、再発防止や品質向
上面では、マイナスだと思います。
有限会社カノム 名古屋市守山区小幡南三丁目20-28 シャトー小幡駅前 303
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