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専門家らしく見せる
建築士の資格がなく、無資格のため当然、建築士
事務所登録もしていない者が、欠陥住宅の調査鑑
定をしている例が2件ありました。
2つの例ともに、さほど詳しくないのに専門家を
装い、依頼者を信頼させ、業務を請け負う。
やっているうちに、依頼者も能力がないことに
気づきますが、紛争事は相手方がいるので、すぐ
に能力の無さを見抜かれます。
一つの例は、鑑定書類を見せていただきました。
相手側から素人だろうと突っ込まれるくらい、間
違いだらけで、ひどいものでした。
金儲けか、正義感からからは分かりませんが、専
門知識がないのに、専門知識が必要な仕事に参入
したことが間違いだと思います。
調査鑑定業務は、資格よりも経験が一番重要です。
それでも依頼する場合は、建築士資格の有無、
その会社の建築士事務所登録を確認しましょう。
NPOなどが発行している民間の検査員資格はあって
もなくてもどちらでも良いです。
業者選び(耐震、省エネ)
9月の後半ということもあり、スケジュールが
混み合っております。ただ、欠陥検査は一段落
し、精密検査機材を校正に出しました。
営業力の弱い工務店さんが、今、トレンドである
耐震等級3、省エネ、床下暖房仕様などを手掛け
るケースが増えています。高い技術力がなくても
、外部頼りでこの仕様を取り入れることができる
ため、注意が必要です。
耐震等級3,許容応力度計算においては、でたら
めな入力で、計算し直すと、等級1だった現場も
あります。
省エネなどに関しては、空調が効かない、カビ
だらけといった例が多いです。
仕様に飛びつき、依頼するのは大変危険です。
その会社、設計者の実績を確認しましょう。
中には、外部の専門家のサポートを強調している
会社もあります。それは、自社にノウハウがない
証拠であり、専門家のサポートが少なければ、自
己流の仕様になる可能性が高いです。
事例1266 「ほぼ全て、床タイルが剥離」
今回の台風、途中から速度が上がったため、
台風の影響による出張の変更はありませんでした。
予定が空けば、書類作成の仕事が進みますが、
どこかでスケジュールがきつくなります。
■(1)今回の事例_____________
「ほぼ全て、床タイルが剥離」
______________________
◆写真解説
床タイルが剥離し、業者がタイルを撤去。
その後、修理が中断し、下地のまま放置されている。
◆内容説明
RC造の家、施工不良で入居後からタイルが浮き、
最終的には全て浮いた。
浮くことで、段差が出来て、足を怪我する、タイルが
割れるなどの影響あり。
モルタルで貼りつけた場合、壁でも床でもタイルは
剥がれる事例が多い。今回も剥がれた面を見ると、
施工不良が疑われる。
木下地では、接着剤で貼りつけるため、剥離の可能性
は低い。
RC下地でも接着剤で貼るケースが増えています。
◆対策
完成時や初期の定期点検時にタイルの浮きのチェック
をする。
===========================
■(2)編集後記
夏場の家に発生するカビ問題。
件数が多い割に、被害者以外、騒がれていません。
裁判所を含め、一般的にはシロアリ被害のような考えで、
設計や施工者の注意で100%防ぎきれるものではなく、
発生した場合は、程度に関係なく、自己対応。
今年もかなりの数のカビ被害情報が寄せられています。
今後、気象変動や家の気密化が進むと、被害は今より
増加していくと思います。
誤った計画により、カビが発生しているものは、告示
などである程度の規定を決めれば、被害は減らせると
思います。しかしながら、国が動くには、シックハウス
のような社会問題にならないと無理です。
マンションのケースで一度に百人単位で被害者が出れば
注目を受けますが、戸建ての場合は、集団被害は出にくい
ので注目されにくい。
集団被害が出ない=規格住宅を大量に供給している大手
では被害が少ないということです。
事例1265 「RC壁、ひび割れからの雨漏り」
愛知県は月曜日が最も台風の影響を受けそうです。
ニュースを見ると火曜日の午前中は、台風が過ぎても
交通機関に影響が出るようで、火曜日の出張予定を
変更する必要が出るかもしれません。
■(1)今回の事例_____________
「RC壁、ひび割れからの雨漏り」
______________________
◆写真解説
鉄筋コンクリート壁、ひび割れからの雨漏り。
修理を繰り返しているが、新たに入るひび割れもあり、
雨が漏り続けている。
(室内壁下の赤外線サーモグラフィーカメラ画像)
◆内容説明
コンクリートに発生する収縮ひび割れは、外壁や
木造基礎の立ち上がりなどに発生すると貫通する
ケースが多い。
貫通しても、ひび割れの幅が狭ければ、修理は
不要ですが、雨が当たる箇所では、軽微な幅でも
雨が入るため、巾が細くても修理が必要です。
紹介した現場は、家のあちこちのひび割れ部から
雨漏りが発生、修理しても、新たなひび割れが
発生し、雨漏りを繰り返している。
◆対策
設計や施工において、ひび割れの発生を抑える
対策が重要。
===========================
■(2)編集後記
今の時代、パワハラ防止の意味で、部下を叱らない
会社が多いようです。
その影響があるのかどうか分かりませんが、
昔なら即、叱られるようなことを無意識でする監督
さんが増えているように思います。
先週だけで、2人の現場監督をきつく叱りました。
圧力をかけて私をコントロールしようとしたためです。
(指摘を見なかったことにするなど)
いくら威勢よく、圧力をかけてきても、しりごみする
タイプではありません。そんな気弱なことなら、欠陥
住宅紛争の仕事を長年やっておりません。
毎年40~50件、新たに欠陥検査に入り、裁判など
争いを仕掛けたり、複数の大手ハウスメーカーの商品
欠陥を追及中であったり、圧力に屈するようではでき
ない仕事です。
今年中には、業界の大問題となりうる、欠陥事例を公
表する予定です。
資料作成協力
本日10時から放送されるTBSのドラマ、
「石子と羽男 そんなコトで訴えます?」
今回、不動産関連トラブルの内容で使用する、
資料などの協力を求められました。
今回、不動産投資詐欺がテーマ。話が来た時は、
軽く考え、承諾しましたが、めんどくさくなる
くらい、あれこれ注文を付けられました。
報道番組で、振り回されるのには慣れている
ものの、ドラマだから簡単と思ってしまった
自分が悪いと反省しています。
無茶な要求
この仕事を20年以上やってきて、初めて多額の
値引きを要求されました。
内容は欠陥住宅検査と別途、時間がかかりそうな
雨漏り検査。合計金額の約25%に相当する雨漏
り検査を無料にして欲しいとの要求でした。当然、
検査自体を引き受けるのを断りました。
詳しくは分かりませんが、請負代金などを大幅に
値引きさせ、粗悪な工事や手抜きをされたのかも
しれません。
欠陥住宅の問題においては、被害者だから無料で
助けて欲しいという要望は、過去にいくつかあり
ました。ボランティア団体ではないですし、それ
をやってしまうと、費用を払って依頼してくれる
大勢の方に申し訳ないため、一切、無料対応はし
ておりません。
検査も紛争も先に結果が分かりません。そのため、
各業務において、最大限の結果を出すために、手
抜きは厳禁です。値引き分、手を抜けば、良い結
果になるはずはありません。
人を見て、適当に金額を決めていると思われたく
ないため、検査料金はホームページに表示してい
ます。いろいろ追加で費用が増した場合など、端
数を落とすことなどはしております。
夏場のカビ
毎年9月から10月頃、カビの原因特定調査依頼が
増えます。
7,8月頃にカビが発生し、施工業者とやり取りし
ている間に時間が過ぎ、発生のピークを越えてから
の依頼となります。
昨日、欠陥住宅検査に行った家は、カビ被害が発生
しているにも関わらず、業者が逃げたため、家全体
を調べて欲しいという希望で伺いました。
家の仕様が高断熱、高気密化しています。水蒸気の
影響を設計で深く考えられないと、結露やカビが発
生します。今回、設計ミスがカビ繁殖の原因でした。
建築会社は、弁護士を立てて、施主を黙らせるつも
りでした。しかし、その行為が、欠陥検査を入れる
きっかけになり、検査で違法建築、不同沈下等も判
明、重大な不具合が露わになりました。
しばらくすると、施主側の弁護士から通知が届き、
自らの対応の悪さで「墓穴を掘った」ことに後悔
するでしょう。
残業時間減への取り組み
建設業は、2024年4月に残業時間の規制が厳しく
なります。おそらく、改正当初は、監督署の取り
締まりが厳しいと思われます。
仕事量が同じで、労働時間が短くなれば、人を増や
すか、仕事を効率化するしかありません。
残業時間が短くなっても、今の時代、現場監督に
なりたい人は増えないため、仕事の効率化を計る
会社が大半でしょう。
現場監督不足、労働時間短縮を目的とした遠隔に
よる現場管理が大手を中心にテストされています。
情報などを見ていると、未経験者に遠隔で現場管理
させる流れもあるようです。完全な規格住宅なら、
可能かと思います。ただし、仕事の面白さ、やりが
いは少なく、金銭面の不満があると、長続きしない
可能性があります。
今現在でも、ローコスト系規格住宅の現場監督さん
達は、オーバーワークの人がほとんど。あと、1年
半で改善できるとは、到底思えません。
今後、対策の一つとして、現場の土曜日休みも増え
てくるなど、確実に工期も長くなります。依頼する
側にも、いろいろ影響がありそうです。
審査が甘い民間検査機関
欠陥住宅検査を実施した現場で、2件連続して
重大な構造に関するミスが発覚している。
たまたまですが、2件とも、同じ民間検査機関に
確認申請を出して、重要な項目にも関わらず間違
った仕様、計算書が通っています。
確認申請を出す側にしてみれば、修正は面倒なため、
厳しくチェックする会社より、甘い会社を選びます。
検査会社側では、売り上げを増やすには、建築士に
選ばれる会社にならないといけません。
有効なのが、料金を下げるか、審査を甘くすること
です。
複数の設計者に聞くと、この会社は、建築士の間で、
審査、検査が比較的甘いという認識のようです。
おそらく、設計されたものが正しい、現場は監理者が
適正に監理し、間違いがないという前提で、審査や
検査を甘くしていると思います。
確認検査機関がチェックしてくれるので安心だと
言う考えは、持たない方が良いと思います。
事例1264 「壁の結露、カビ」
名鉄高架工事の下り線の工事が始まりました。
事務所前に工区の境があり、現在、同時に杭打ち
工事を実施中。
杭打ち機の高周波騒音がひどく、窓を閉めても
頭がふわふわして、平日の昼間は事務所で仕事が
できません。
■(1)今回の事例_____________
「壁の結露、カビ」
______________________
◆写真解説
湿気た石膏ボードにエアコンの冷気が当たり、結露が発生。
大量のカビも繁殖した。
◆内容説明
鉄筋コンクリート造の建物。
現地を確認したところ、外部から室内へ空気が入ってくる
開口を発見した。
夏場の湿った外気が壁内や天井裏に入り、
石膏ボードが水蒸気を吸い込む。
そこへエアコンの風が当たり、結露が発生、
その水分でカビが大量に繁殖、クロスもめくれた。
◆対策
計画外の空気侵入=「漏気」をできる限り少なくする。
===========================
■(2)編集後記
名鉄の高架工事と同時に、名古屋市の市道拡張(名東区と
守山区を南北に走る)も行われ、完成すると、事務所の真横は
大幅に交通量が増える見込みです。
東海地方各所に出ていく拠点としましては、名古屋第二環状、
名古屋インターも近く、便利なところなので、事務所移転の
計画はありません。
ただし、書く仕事や打ち合わせ、コンサルティングなど、
静かさを必要とする業務は、別の場所をメインにする予定です。
コロナ過や資材高騰などの大きな変化、自身の今後の仕事の
あり方など、複合的に検討した結果、2拠点目を新設することを
決めました。
開放的な建物で室内でも換気は十分ですが、屋外にも打ち合わせ
スペースを設けます。
現在、最終段階の準備中で、来月には、稼働する予定。
詳細はまた、告知いたします。
有限会社カノム 名古屋市守山区小幡南三丁目20-28 シャトー小幡駅前 303
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