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事例1252 「鉄筋切断」
GWの直前と直後に遠方の検査を組んでおります。
コロナの影響で、未だ飛行機の便が少ない、欠航しているなど
の影響を受け、2ケ所ともハードなスケジュールを組みました。
新型コロナで制限が出てから、3回目のGW。
そろそろ、元の状態に戻って欲しいですね。
■(1)今回の事例_____________
「鉄筋切断」
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◆写真解説
コア抜き(孔のあとあけ)したコンクリート片。
よく見ると鉄筋の断面が見える。
鉄筋の位置を確認しないまま、基礎に孔をあけ、
鉄筋も切断した。
◆内容説明
コア抜きを社内規定で禁止しているにもかかわらず
コア抜きをして、鉄筋まで切ってしまった。
現場監督の段取りが悪く、設備業者がスリーブを
入れ忘れたことが原因。
今回の例では、強度とかぶりの問題があるが、
ハウスメーカー側は、強度は計算により問題ないことを
確かめ、かぶり不足については、あけた孔を塞いだ。
鉄筋コンクリートのマンションやビルでも
コア抜きにより鉄筋が切られていることが多く、
割とよくある事例です。
◆対策
コア抜きの必要がある場合、鉄筋位置を調べ、
かぶりを確保して孔をあける。
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■(2)編集後記
建築費の高騰は、木造より、鉄筋コンクリートや重量鉄骨で建てる方に
影響が大きいようです。
最近、これらの構造で建築する複数の方の相談に乗りましたが、
建築業者が予想外の金額を提示しているようです。
特に住宅においては、木造に比べ、施工する業者が限られます。
競争が木造より少ない分、リスクを取ってまで仕事を取ろうと
しないようです。
建築費は今が一番安い。今後、さらに上がるという予想をしている人も
多く、情報収集を続けたいと思います。
事例1249 「スリーブ孔拡大」
昔は3月が仕事のピークでしたが、
最近は2月に分散する傾向で、3月に検査が
集中するということがなくなりました。
それでも、思っていたより、バタバタはしていて、
この3連休も、仕事しております。
■(1)今回の事例_____________
「スリーブ孔拡大」
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◆写真解説
基礎スリーブ孔。
配管勾配の高さが合わず、上に孔をあとあけした。
鉄筋を切断していないものの、孔拡大に対応した
補強ができていない。
◆内容説明
当初設置したスリーブ位置が低く、配管勾配を取るために、
既存のスリーブ上に追加で孔をあけた。
基礎に孔をあけること自体、規定どおりであれば問題ないが、
孔の大きさに応じて、補強筋を入れる必要がある。
あとから補強はできないため、構造耐力上、問題がある。
もう一つNG施工が写っている。
写真一番右、2つのスリーブ孔の近接。
本来、規定の距離を取る必要がある。
◆対策
住宅の設計においては、設備設計を詳細に行う会社は少なく、
排水管は高さの制約がない、人通口を通す例が多い。
スリーブを設ける場合は、詳細な配管図をつくる。
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■(2)編集後記
先日、良い報告を頂きました。
昨年欠陥検査を行った家、話し合い(裁判外)の結果、
建て替えが決まりました。
建て替えや買取りで終わるものばかりだと良いですが、
好ましくない結果で終わるものも、たくさんあります。
紛争になった際、最終結果に影響を及ぼすのは、
不具合の内容以外に、依頼先の対応が関係します。
依頼先を決める時、もめた時の対応の良し悪しまで
考えて決める方はいないと思います。
紛争解決を多く見ている私からすれば、
もめる確率はわずかですが、万が一のために
そこを考慮することは重要だと考えています。
契約までは、どの営業マンもいい顔をするので、見極めるのは
難しいです。とはいえ、情報収集をすれば、分かる場合もあります。
弊社は、大手や東海地方の有名工務店であれば、
そのあたりの情報は即答できます。
(対応が悪い会社においては、マイナスの情報であり、
電話やメールではお答えはできません)
事例1234 「レベラー硬化不良」
今日午後の現場、風も入らない屋根直下にいた所、
熱中症になる不安を感じました。
10月に30度超え。名古屋は今日だけでなく
ここ数日、続いております。
■(1)今回の事例_____________
「レベラー硬化不良」
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◆写真解説
基礎レベラーの硬化不良。
チョークで文字が書けないくらい柔らかい。
◆内容説明
基礎天端から10mm程度は、水平を出す「レベラー」の
施工があるのが一般的。
写真は、施工時に水が少なかったか、撹拌不足か、
固まる前に水を足したのか、何らかの原因で硬化していない。
基礎の一部分であり、本来であれば十分強度も出る材料。
この件は、1階床を組まれてしまうと分かりにくい。
新築の基礎完成検査で、年に1,2件指摘をします。
◆対策
基礎完成時に硬化具合をチェックする。
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■(2)編集後記
明日は遠方の裁判に出るため、朝早く出発します。
翌朝、電車が止まるなどのリスクを考え、
前日に現地入りすべきだと思いますが、
前日の現場検査予定が多いと難しいです。
クラウドサーバーを使うなど、どこでも仕事できる体制に
していますが、事務所での仕事が一番効率が良いです。
事例1206 「スラブ筋、かぶり不足」
先月から忙しさが続いております。
昨日、50ページ超の裁判書類と雑誌原稿を書き上げ、
ホッとしましたが、まだ、たくさん書く仕事があります。
来月に入ると現場予定なども比較的余裕がでてきます。
■(1)今回の事例______________
「スラブ筋、かぶり不足」
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◆写真解説
ベタ基礎の鉄筋を探査した電磁波レーダーの画像。
鉄筋(赤丸)がスラブの底(表面から150mm)の位置にあり、
下のかぶりがない。縦軸が深さ。
◆内容説明
施主さんの撮影した生コン打設中の写真から想像すると、
原因は作業員が鉄筋を踏み、サイコロがずれた。
スラブ筋はD10@200mm。
人が鉄筋を踏めば、サイコロがずれる可能性が高い。
スラブ筋下の最低かぶり厚さは、60mm必要。
基礎の下部分のため、修理は基礎をやり替えるしかない。
コンクリートを打たれてしまえば、分からなくなる事例、
今回は、欠陥検査で実施している鉄筋探査で発覚した。
◆対策
上を歩いても、弱く感じないスラブ配筋はD13@200mm以下。
@150mmだとかなり頑丈に感じる。
そもそも、瑕疵保険基準のベタ基礎配筋にD10の選択はない。
構造計算でOKであっても、スラブ筋はD13にする。
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■(2)編集後記
新築検査の完成検査で、いろいろ指摘を出したら
現場監督の顔色が変わった。
当初は普通な感じでしたが、見るからに苛立っている。
修理の段取りが面倒だからでしょう。
社内検査をきちんとしておけば、指摘はそれほどでないはず。
自分の怠慢が原因なのに苛立ってどうすると思います。
指摘を出しても、その内容が理解できない現場監督が増えています。
日常業務に余裕がなく、自分自身レベルアップを図ろうとしない、
会社の方も勉強する機会を与えないのが原因だと思います。
建築の学校を出てきても、現場では即戦力にはなりません。
社会人になってからの勉強が大事なのに、会社に入れば、
段取りや雑用ばかりやらされている印象しかありません。
事例1201 「ジャンカ、コールドジョイント」
久しぶり、夕方に打ち合わせなどの予定がありません。
昼間は現場、夕方からは打ち合わせ、相談等を入れていると
ゆとりの時間がなく、ブログなどが後回しになります。
■(1)今回の事例______________
「ジャンカ、コールドジョイント」
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◆写真解説
鉄筋コンクリート造の壁。改修工事で断熱材を撤去したところ、
多数のジャンカ、コールドジョイントが出てきた。
新築時、断熱材でコンクリート表面が見えず、発見できなかった。
◆内容説明
スタイロフォームなどの断熱材を型枠に張り付け
コンクリートを打設する工法。
あと貼りに比べ、断熱材が確実にコンクリートと密着して良いが
今回の例のようにコンクリートの施工不良を発見できない。
住宅の基礎でも同様の施工があるが、
高さが低い分、打設時の不良は出にくい。
品質のチェックや、打設時の型枠への振動を考慮すると
断熱材はあと施工が良い。
◆対策
断熱材はあと施工にする。
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■(2)編集後記
検査の問い合わせは、メールを入れていただくように案内しております。
ホームページ通りの内容でしたら電話だけでも問題ありませんが、
記載以外の検査や交通費が加算される場合は、金額を口頭で伝えると
あとで金額の食い違いが出ることがあります。
事務所の電話は記録を残しておりますが、
出先で携帯から掛ける場合は、記録が残りません。
金額以外に、瑕疵検査などは、いろいろ聞き取ることが多く
メールで連絡を頂いていると、多少時間が経過していても
過去の内容を見返すことができます。
一部、メールを使い慣れていない方にはご不便をおかけしますが、
確実な業務委託のため、メールでの問い合わせを今後も続けていきます。
携帯キャリアからのメールやショートメールにも対応しています。
事例1200 「コンクリート内、土混入」
台風が近づくと、電話などの連絡が少なくなる気がします。
現場監督さんたちが、現場養生に忙しくなるからでしょうか。
本日、週末でも連絡が少ないです。
■(1)今回の事例______________
「コンクリート内、土混入」
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◆写真解説
コンクリート内に土の塊が混入。擁壁の水抜き穴をコア抜きして発覚。
土の大きさによっては構造的な影響が大きい。
◆内容説明
建物周囲がぬかるんでいる場合など、靴や型枠などの材料についた土が
型枠内へ入ることがあります。
コンクリートを打設する前にチェックをすればよいですが、
チェックしている現場は皆無だと思います。
過去にもあとから発覚した現場がありますが、それは、表面に見えていたため、
一部が表面に出ていないと、発覚することはないでしょう。
土は強度がなく、空洞扱い。
強度不足以外に、位置によっては、かぶり不足となる。
◆対策
基礎工事時においても周囲の整地。
コンクリートを打設する前に型枠内のチェック。
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■(2)編集後記
現在、欠陥住宅検査依頼が多く、多少、お待ちいただいている状態です。
欠陥検査は丸1日かかる検査のため、予定を組める日は
私が全く予定を入れていない日になります。
新築検査も行っているため、概ね10日くらい先まで予定を埋めます。
その先は、裁判関係、前もって日にちを決める大手ハウスメーカーの
新築検査予定を組んでいるため、欠陥検査は、週に2件実施できるかどうかです。
最近、また、無知型の欠陥住宅が増えています。
この問題は、なかなか無くなりません。
事例1197 「地盤からの基礎高さ」
4連休ですね。
今朝、名古屋高速一宮線で事故が2件もあり、
早めに出発したにもかかわらず、15分ほど遅れました。
今日は終日、どこへ行っても道路が混雑。
最近は新型コロナの影響で、連休でも道路は空いていたため、
久しぶりに車の多さを感じました。
■(1)今回の事例______________
「地盤からの基礎高さ」
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◆写真解説
周囲地盤からの基礎の高さが低い(300mmほど)。
フラット35や長期優良住宅の仕様は劣化対策で400mm以上必要。
◆内容説明
地面からの雨の打ち返しや、シロアリが上りにくい高さを考慮し、
地盤面からの基礎高さは400mm以上という規定がある。
(告示では300mm以上)
図面より基礎本体を低く施工するというよりは、
周囲の土を上げすぎる事例がほとんど。
GL設定や庭の設計に無理がある場合に起きやすい。
◆対策
完成時に基礎の高さを確認する。
(テラスやポーチなどは対象外)
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■(2)編集後記
今月バタバタしている原因は、完成現場が多いためです。
8月に比べると10倍くらい完成があります。
完成検査に付きものの床下に、今週は毎日入っています。
連休があると、休み前後に工事中の検査予定が埋まりやすくなります。
そのため、この連休は欠陥検査などの予定を埋めています。
事例1187 「かぶり不足」
先週後半は、スケジュールを詰め込み過ぎて
ブログ更新ができませんでした。
サポートしている裁判が一気に動き
打ち合わせなどに時間を割きました。
■(1)今回の事例______________
「かぶり不足」
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◆写真解説
基礎立ち上がり、鉄筋のかぶり不足
(写真内の線が鉄筋。数字が表面から鉄筋までの距離)。
非破壊試験で鉄筋の位置を確認。
◆内容説明
布基礎立ち上がり部の鉄筋かぶり。
あばら筋(縦筋)の位置と表面からの距離(かぶり)を
非破壊試験械で計測。
布基礎の土に接する箇所は、施行令の規定で40mm以上、
接しない箇所においても30mm以上のかぶりが必要。
土に接していない上部を計測しているが、
通常、鉄筋は真っすぐ。地中部もかぶりが不足している可能性が高い。
非破壊の誤差を言ってくる業者が多いが、
機械の特性としてプラス側の誤差が出るケースがほとんど。
実際は、測定結果より不足している可能性が高い。
◆対策
生コン打設前にかぶりを確認する。
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■(2)編集後記
ある名古屋の建築業者。
おしゃれできちんとした感じを広告などで出していますが、
社員はだらしのない人が多い。
欠陥検査に私が入った際、支払いがその業者からだったため、
遠回しに検査を甘くして欲しいと言ってきた。
もちろん聞く耳持たずで、全力で指摘を出したら、
それまで下手に出てた態度が急変した。
あとで調べると、数年前に関連会社相手の裁判サポートをしていた。
多くの業者を見てきて、だらしのない業者はトラブルも多く、
同じトラブルを繰り返す。
だらしなさは、数回のやり取りで分かります。
だらしない業者に対しては、お客さんから評判を聞かれれば、
その業者はやめた方がいいと教えます。
事例1177 「基礎鉄筋露出」
緊急事態宣言が出されました。
7都府県の建築現場への影響が気になります。
きりが良い工程で止めるのは、支障が少ないですが、
工程によっては、雨に濡れるなど、問題があります。
明日以降、どのような対応になるのか、分かってくると思います。
■(1)今回の事例______________
「基礎鉄筋露出」
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◆写真解説
基礎の天端、鉄筋(主筋)が露出している。
鉄筋の組み方が悪く、位置が高すぎたことが原因。
◆内容説明
鉄筋が露出している例は、3年ほど前にも見たことがあります。
かぶりゼロの状態は、コンクリートの付着力も期待できませんし、
すぐに錆びてしまいます。
新築検査の配筋検査時に、鉄筋組の不備を指摘。
修理方法まで指示したのに、この結果。
基礎職人のレベルが低すぎます。
◆対策
コンクリートを打つ前、打った後にチェックをする。
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■(2)編集後記
愛知県は外れましたが、影響は出てくると思います。
特に従業員の多い会社ほど影響は大きそうです。
私も複数~大勢の前で話す仕事はしばらく取りやめ。
今月予定していた一般の方へのセミナーは、
楽しみにしていただけに残念です。
今回、書く仕事は、全く問題ありません。
セミナー等は動画にして配信することも
今後あるかもしれません。
事例1176 「基礎立ち上がりの構造クラック」
4月に入りましたが、業務に追われています。
現在、建て替え要求の書面作成中。
争いごとの処理に追われています。
■(1)今回の事例______________
「基礎立ち上がりの構造クラック」
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◆写真解説
基礎の立ち上がりに入ったひび割れのほとんどは収縮が
原因で起きたもの。写真は構造が原因。幅が太い。
◆内容説明
収縮クラックは「ヘアークラック」とも呼ばれ、
太いもので幅0.5mmほど、大半は0.1~0.3mmくらい。
写真は幅1.4mm。当然、貫通していて、内側は2.2mmもあった。
床の傾斜が確認でき、構造的に入ったものだと断定した。
最近の現場は、基礎表面に弾性系の塗装を塗る現場が増えた。
収縮クラック程度では、塗料が切れないことも多いですが、
今回のような太いクラックが入れば、塗装も切れます。
◆対策
構造クラックは、地盤沈下が原因で入ることが多い。
地盤調査を行い、適切な基礎補強判断の有無を行う。
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■(2)編集後記
仕事のやり方などにおいて、今回、大きな変革期になりそうです。
数年先だと思っていたことが一気に進むかもしれません。
スケジュールが落ちついてきたら、じっくり考えてみたいと思います。
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