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事例1250 「鋼製束の脚、未固定」
昨日の朝、地震が発生した際、梯子の上にいて、
大地震だったら危ないと思い、すぐ下に降りました。
割と震源に近い場所にいたので、
結構揺れを感じました。
■(1)今回の事例_____________
「鋼製束の脚、未固定」
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◆写真解説
鋼製束の脚が浮いている。ボンドや釘で固定されていない。
人が歩くたび上下に動き、床なりの原因となる。
◆内容説明
1階の床を支える鋼製束。シロアリや腐りに強く、高さ調整もしやすい
ため、ほとんどの現場で使用されています。
木(大引き)がやせると、上に引っ張られ、脚が浮くため
コンクリート釘とボンドで固定するのが一般的です。
(メーカーによって多少、施工内容が異なります)
写真の現場は、8割ほど、脚が未固定。
数年経過し、大半が浮いている状態で、歩くと床がたわむ。
構造的な問題ではありませんが、
床なりの原因にもなりやすく、きちんと脚を固定する必要があります。
◆対策
施工時または、完成時に固定をチェックする。
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■(2)編集後記
ブログの更新が空くことが増えています。
書く気力がない、休んでいるわけではありません。
とあるリノベーションの計画、施工指示等に時間を取られています。
使用されている建材などが特殊なため、難しく、時間を取られます。
検査をやめて、設計や施工を昔のようにやろうとしている訳では
ありません。一般的な業者が手を出さないような、特殊案件に限り、
紹介などで、どうしても断り切れない場合のみ、関わっております。
検査でたくさんの現場を見てきた経験が、これらの仕事にも
役に立っています。
1件落着
また1件、欠陥住宅検査を実施した家の買取が決まりました。
裁判ではなく、話し合いの結果です。
このうれしい報告を頂いた同じ日に、業者が対応しないという
報告もありました。
こちらは、同じく欠陥検査の結果から、きちんと修理するには
建て替えしかないと判断、建て替えを要求していましたが、
拒否してきました。
最近の傾向として、早い段階で弁護士に相談する業者が増えています。
裁判の方が安く済むと業者が判断すれば、話し合いは決裂します。
また、ネットでの自社の悪評の書き込みに慣れ、実名公開されても
動じない業者も増えています。
これとは反対に、無理難題でない限り、施主とは戦わない姿勢を
貫く業者さんも見えます。
重大な問題がある欠陥住宅をつかむ確率は数パーセントですが、
何かあった時のために、業者の見極めが重要です。
過剰表現
営業マンの言うこと、パンフレット、広告など。
これらを鵜吞みにして契約。
住んでから説明と違うことに気づくケースが
相談などを受ける中で、増えているように思います。
また、ネットの情報で選んだ仕様などが、
説明と違ったという例も増えてます。
(営利目的のものは、特に注意したほうがよいです)
新聞やテレビニュース並みに、これらに嘘はないだろうと
思っている方が多いので、騙されてしまいます。
ただ、言っている、書いている方も、会社からの説明を
素直に信じ、嘘だと気づいてないケースも多いです。
コロナの影響による、住宅着工数は落ち着きつつあり、
今後、受注確保のため、性能アピールが激化すると、
この手のトラブルは増えていくと思います。
事例1249 「スリーブ孔拡大」
昔は3月が仕事のピークでしたが、
最近は2月に分散する傾向で、3月に検査が
集中するということがなくなりました。
それでも、思っていたより、バタバタはしていて、
この3連休も、仕事しております。
■(1)今回の事例_____________
「スリーブ孔拡大」
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◆写真解説
基礎スリーブ孔。
配管勾配の高さが合わず、上に孔をあとあけした。
鉄筋を切断していないものの、孔拡大に対応した
補強ができていない。
◆内容説明
当初設置したスリーブ位置が低く、配管勾配を取るために、
既存のスリーブ上に追加で孔をあけた。
基礎に孔をあけること自体、規定どおりであれば問題ないが、
孔の大きさに応じて、補強筋を入れる必要がある。
あとから補強はできないため、構造耐力上、問題がある。
もう一つNG施工が写っている。
写真一番右、2つのスリーブ孔の近接。
本来、規定の距離を取る必要がある。
◆対策
住宅の設計においては、設備設計を詳細に行う会社は少なく、
排水管は高さの制約がない、人通口を通す例が多い。
スリーブを設ける場合は、詳細な配管図をつくる。
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■(2)編集後記
先日、良い報告を頂きました。
昨年欠陥検査を行った家、話し合い(裁判外)の結果、
建て替えが決まりました。
建て替えや買取りで終わるものばかりだと良いですが、
好ましくない結果で終わるものも、たくさんあります。
紛争になった際、最終結果に影響を及ぼすのは、
不具合の内容以外に、依頼先の対応が関係します。
依頼先を決める時、もめた時の対応の良し悪しまで
考えて決める方はいないと思います。
紛争解決を多く見ている私からすれば、
もめる確率はわずかですが、万が一のために
そこを考慮することは重要だと考えています。
契約までは、どの営業マンもいい顔をするので、見極めるのは
難しいです。とはいえ、情報収集をすれば、分かる場合もあります。
弊社は、大手や東海地方の有名工務店であれば、
そのあたりの情報は即答できます。
(対応が悪い会社においては、マイナスの情報であり、
電話やメールではお答えはできません)
事例1248 「サイディングの汚れ」
先週、これから建てる方の見積書をチェックした際、
昔に比べ確実に値上がりしていると思いました。
戦争が始まったことで、さらなる資材高騰が懸念され
家を建てる方には条件が悪くなっています。
■(1)今回の事例_____________
「サイディングの汚れ」
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◆写真解説
サイディングの汚れ(藻、苔、カビ)。
築浅でも汚れがひどく、美観を著しく損傷している。
◆内容説明
外壁に藻などが付き、ハウスメーカーに連絡をすると、
よくあることで自然現象だから、自分で洗ってくださいと
言われるケースが多い。
藻などの付着を完全に防ぐことは難しく、少々であれば
仕方がない。しかし、写真のようにひどく汚れている場合は、
建物の設計や施工に問題があることが多い。
被害のひどい家に共通している内容として、
サイディングの色が汚れが目立ちやすい白系。
また、藻などが付くには水分は欠かせないため、
軒がなく、壁に雨が当たりやすい家、その他、
外壁通気層の施工に不備がある家が多い。
◆対策
周辺環境を見て、対策を講じる必要があると判断した場合、
濃い系の色のサイディングを選ぶか、外壁をガルバなどにするなど。
外壁通気を十分機能させることは、汚れに関係なく
建物の耐久性に影響するため、重要です。
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■(2)編集後記
今月すでに、2つの裁判に参加しました。
建築紛争の当事者になった方が口をそろえて言うことは、
「こんなに、いい加減な場だと思わなかった」
今回も主張している主旨が、一部、ずれていて
説明をしても、聞く耳を持ってくれません。
そんな状況でも最終手段として裁判は必要で、
納得する、しないは別として、解決には有効です。
無くならない大手メーカーの施工不備
このところ、大手ハウスメーカーの重大な欠陥を
続けて発見しています。
大手メーカーだから安心だと思っていた施主さんは、
不具合の内容を告げたときのショックは大きいです。
素直に補修等の対応をしていただければ良いですが、
発覚した不具合が、メーカー全体の問題に及ぶ可能性が
高いケースでは、問題をなかったことにしようとする
圧力が高まります。
大手ハウスメーカーは、地元工務店に比べ、商品は規格化
され、施工マニュアルや職人の教育等が充実しているため、
一般的には、欠陥住宅になる確率は低いです。
とはいえ、どれだけマニュアルや、教育等しっかりしても、
職人が故意に手を抜くことだけは、無くすことができない
ため、一定数、不具合が発覚する現場が出てきます。
職人の数も多いため、手を抜かないような意識改革の徹底が
難しく、また、社内検査も厳密に行われていないため、不具合
をゼロに近づけられないのだと思います。
取り立て
今週は、検査代金の取り立てを2件行いました。
1件は業者。ミスが続き、施主さんが完成時の検査を希望。
弊社を施主さんが選び、代金は業者払いのパターンでした。
面識のある業者なので、後払いを了解しましたが、
4ケ月経過しても支払いなし、その後、支払うと言っては何度も約束を破る。
経営が悪いか、杜撰なのか、だから現場でもミスが多く起きると思います。
依頼してはいけない業者のリスト入りです。
もう1件は、裁判をサポートしている方。
お金がない方ではなく、被害者だからボランティアでやってみたいな感じ。
次回の裁判出席を含め、今後のサポートも全てやめるとお伝えしたところ、
払いますとの返事が来ています。
支払いの催促は、嫌な仕事なので、人に任せず私が行います。
なかなか支払わない相手でも、申し訳ないと謝られると、
こちらが悪者のようになった気分になります。
瑕疵保険の検査は何のため?
基礎のかぶり不足の指摘に対し、(非破壊検査で発覚)
業者は瑕疵保険の配筋検査に合格しているので
かぶり不足はないと主張。
裁判所から瑕疵保険会社へ検査について質疑を出したところ
保険会社からの回答に以下の記載があった。
「本検査は、住宅に瑕疵がないことを確認するものではない」
瑕疵保険の費用は施主が払う、この内容を聞いたら、
大半の方ががっかりすると思います。
最近は、瑕疵保険の検査以外に、ハウスメーカーや工務店が
外注の検査会社に検査を依頼しているケースが増えている。
私から見れば、これらの会社も瑕疵保険会社とレベルは同じです。
根本の問題は、検査員のレベルが低いのではなく、言いたいことを
言えない、本部の方で指摘範囲を狭めていることです。
住宅メーカーの営業で、瑕疵保険の検査、中間検査があるから
弊社のような第三者検査は無駄だと言う人が多い。
今回の回答から、それが間違いであることがはっきりしました。
公的な検査が増え、さらに着工数が減っているにも関わらず
品質不良が減らない理由は、検査が事務的になっているからです。
事例1247 「床の傾斜」
この前伺った家。事前のやり取りの際に、
ハウスメーカーが検査に入るのを抵抗して
いる感じがありました。
検査に入り、その理由がわかりました。
■(1)今回の事例_____________
「床の傾斜」
______________________
◆写真解説
2階床の過度の傾斜。水平器は18/1000の表示。
梁取り付け位置の高さの誤差が原因。
◆内容説明
床の水平精度を誤差ゼロで施工することは、いくらお金を
積まれても技術的に不可能です。どの家でも数ミリの誤差が
ありますが、誤差が大きくなると、歩くだけで傾斜を感じたり、
物を置くと斜めになってしまいます。
床の傾斜がある家は案外多いです。その原因は、工事中に重い資材を
集中して置いて、梁がたわむ、基礎の水平精度が悪いなど。
工事中、水平精度を確認すれば、仕上げで調整は可能です。
今回の例は、1階の天井をめくり、梁を確認したところ
梁の高さの差が大きかった。
つまり、加工精度の不良が原因だと思われる。
大手ハウスメーカーは、社内基準で床の傾斜の基準を決めています。
地元工務店は、品確法の基準を持ち出し、3M以上の距離で18mm
以上(傾斜角6/1000)高低差がないと直さないという会社が多い。
この数値は普通ではあり得ないレベル。例えば6畳の部屋の長手方向
(約3,5M)の端と端で、21mm以上の高低差になります。
基礎の天端の誤差は大きくても5,6mmで押さえられるため、
地盤沈下がないかぎり、その数値にはなりません。
地盤沈下の基準と混同せず、社内基準などで判断することが重要です。
◆対策
完成後の修理は、フローリングをめくるなど、大変な工事なる。
工事中に基礎天端、床の傾斜を確認する。
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■(2)編集後記
SNSは住宅系の情報収集のために、時々見ています。
先週、業界側の方が複数の匿名の者に攻撃されていました。
その後の対応を見ていましたが、攻撃が続き、
最終的に、アカウントを閉じてしまいました。
私の場合、数年前までは、応援してくれるメッセージばかりで
したが、昨年あたりから、攻撃を受けるようになりました。
言っていることは大半が間違っていますが、
あえて反論はせず、一般的な対応をしています。
攻撃が増えることで有益な情報発信が減っているのは
非常に残念です。
交渉決裂
設計の不具合により、カビ被害に悩まされている家。
昨年秋に調査依頼を受け、業者に対策工事を求めました。
これをすれば改善できるという方法まで提示しましたが、
費用がかかるためか、業者は弁護士に相談したうえで、
数点の手直しと数十万円の解決金を提示してきました。
相手からの提示内容は、カビ発生の要因を潰さないため、
今年の夏に再発することは確実で、これでOKできるはずはありません。
この会社、工法を思いつくたび、お客さんの家で実験し
ダメなら次の家で改善策を試す行為の繰り返しをしているようです。
こういう会社は、案外多く、実験台になる家はいい迷惑です。
これは工務店に限った話ではなく、建材関係のメーカーでも多いです。
不具合が発覚しても、マスコミも大きな事案しか取り扱いしませんし、
また、リコール制度がないので、安心して出来ると思います。
有限会社カノム 名古屋市守山区小幡南三丁目20-28 シャトー小幡駅前 303
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