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事例1209 「土台のサイズが小さい」

休み明け早々、割と忙しい一週間でした。

来週までややスケジュールがきつく、
この3連休も全て予定を入れております。

 

■(1)今回の事例_____________

「土台のサイズが小さい」
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◆写真解説

土台サイズが小さく、基礎との隙間を木片を入れておさめた。
床鳴りの原因になりやすい。

 

◆内容説明

写真はリビングの床下で、1階に壁のない基礎部分。
基礎上のため、土台材を載せるべきところ、
サイズが小さい、大引き材を設計した。原因は設計ミス。

ベタ基礎は、スラブの区画が広くならないよう、
1階の壁のない箇所にも基礎梁を入れることがある。
このパターンの際によくある事例。

上に壁が載らないため、構造的な影響はないが、
土台をきちんと緊結できないため、床鳴りの原因になりやすい。

 

◆対策

基礎伏図と土台伏図を照合する。

 

 

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■(2)編集後記

工務店選びをしている方からの質問。
「工務店の品質ランキング付けは信用して良いか」

答え、評価をする人は誰か、どのように評価しているか
で判断したほうが良い。

例えば、民間検査会社が評価している場合、そこへ費用を払い、
検査をしないとエントリーできないと思われる。
エントリー企業が限られ、利害関係のある中で、忖度の可能性を
考えると、信用度は低い。
検査費用を広告費と考えれば、工務店もお金を出しやすく、
システム自体が、お互いの利益だけで、顧客目線でないように思える。

また、雑誌やネットなどでみかける「お勧め優良工務店」。
これも広告費が発生しているはずで、お金を払わないと
載らないものが大半だと思う。

ある県の新聞社が取りまとめている例では、
トラブルの多さで有名な悪徳業者も掲載されている。

中には信頼できるものもあるとは思いますが、
あくまで企業広告だと思った方が賢明です。
「広告は嘘をつく」・・そう思って参考にする程度がよいでしょう。

それよりは、紛争発生率、不具合発生率、雨漏り発生率などのマイナスデータを
開示したほうが、信頼できます。
(そのデータが正しいかを検証しないといけないですが)

 

 

 

事例1198 「土台未施工」

健康診断の結果に「軽度の肥満」と書かれていました。

ケガ防止のために体幹を鍛えている影響で
体全体が一回り大きくなり、体重が増加傾向。

体は重くなっていますが、この1年、ケガもしなくなりましたし、
不安定な足場などでの体の安定感は増しました。

 

■(1)今回の事例______________

「土台未施工」
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◆写真解説

土台が未施工のため、アンカーボルトが丸見え。
図面どおりでない施工。

 

◆内容説明

上に耐力壁ではないが、壁が載る箇所。

その箇所の土台が欠品。大工が手待ちを嫌い、
土台未施工のまま作業を進めた可能性が高い。

普通は作業を中断し、材料を待ちます。

図面どおりでない施工であり、施工業者に修理を求めます。

 

◆対策

1階床組時、または完成時に床下を確認する。

 

 

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■(2)編集後記

夏場の結露発生時期は過ぎましたが、
結露被害の相談、調査依頼が多いです。

かなりの数、調査させていただいたため、
被害データがたくさん蓄積できました。

昨年から家の仕様、構造を見直す必要性を訴えておりますが、
建築系のマスコミ含め、反応が悪いです。

被害がもっと顕著にならない限り、業界の意識は変わりません。

 

事例1185 「基礎がブロック」

今月より事務所での面談も再開したいと思います。

打合せテーブルには、アクリル板を設置するなど
できる限りの対策を講じます。

引き続きオンラインでの対応も致します。

 

■(1)今回の事例______________

「基礎がブロック」
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◆写真解説

耐震補強工事をした家。新設した耐力壁下の基礎がブロック。
これでは耐力壁が有効に働かない。

 

◆内容説明

告示に以下の記載がある。
「木造住宅の基礎は鉄筋コンクリート造とする」

基準を調べなくても、耐力壁下の基礎がブロックで良いとは
素人さんでも思わないでしょう。

床下の狭い空間で鉄筋コンクリートの基礎を造るのは手間がかかる。
手っ取り早く、ブロックで造ってしまったと思われる。

ブロックでは耐力壁にかかる地震力を受けきれない。
基礎まできちんと施工し、耐震壁が成立する。

 

◆対策

補助金を使う、耐震リフォームは役所のチェックが入る。
構造面において、設計と施工を分離するなど、施工者以外のチェックを入れる。

 

 

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■(2)編集後記

いろいろな現場を見てきて、以下の2通りの現場が多いと感じます。

1、社内検査をしていなくても職人が責任をもって施工し、問題が少ない現場。

2、職人の品質に対する意識が低く、社内検査をしているが、
その検査レベルも低いため、問題が多く残る現場。

1の職人さんの考えは、不具合で現場に呼び戻されると時間のロスになるため、
自分でチェックを欠かさない。失敗したらやり直す。
このタイプの職人さんで、さらに社内検査をきちんとすれば、
不具合が起きる確率はかなり低い。

2の職人さんは、社内検査が緩いことに甘んじて、
失敗しても直すのは面倒。言われたら直せばいいという考え。
社内検査のレベルが低い場合は、施主さん自身が目を光らせる必要があります。

私のデータでは、1のタイプはローコストメーカーに多い。
効率化を図らないと、儲からないシステムが要因になっていると思います。

2は意外にも大手ハウスメーカーに多い。元請けの力、縛りが強く、
職人の自立性を阻んでいるかもしれません。

 

 

 

事例1178 「基礎パッキンのずれ」

今後、確実に空きの時間が増えるはずなので、
欠陥写真を頻繁にアップしていこうと思います。

 

■(1)今回の事例______________

「基礎パッキンのずれ」
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◆写真解説

基礎パッキンが大きくずれている。
本来、土台下に納まるように真っすぐ敷く。

 

◆内容説明

10年ほど前までは、基礎パッキンは柱下など部分的に置くタイプが多かった。
最近では全ての土台下に敷くロングタイプが多くなり、
今回紹介したような、ズレをよく目にするようになった。

アンカーボルトを締める際、ズレを気にしていないことが原因。
このあたりの施工に関しても、大工の性格が出ます。

躯体荷重がかかる部分では、あとから修正することが困難。

 

◆対策

床組時にパッキンのズレをチェックする。

 

 

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■(2)編集後記

ダイワハウスや一部のゼネコンが現場を止めるようです。

期限は来月6日から10日くらいまでですが、
さらに延長になるかもしれません。

ダイワハウスは社員の感染者が多く出たためですが、
大手ほど、同様に休業が増えると予想しております。

 

事例1176 「基礎立ち上がりの構造クラック」

4月に入りましたが、業務に追われています。
現在、建て替え要求の書面作成中。

争いごとの処理に追われています。

 

■(1)今回の事例______________

「基礎立ち上がりの構造クラック」
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◆写真解説

基礎の立ち上がりに入ったひび割れのほとんどは収縮が
原因で起きたもの。写真は構造が原因。幅が太い。

 

◆内容説明

収縮クラックは「ヘアークラック」とも呼ばれ、
太いもので幅0.5mmほど、大半は0.1~0.3mmくらい。

写真は幅1.4mm。当然、貫通していて、内側は2.2mmもあった。
床の傾斜が確認でき、構造的に入ったものだと断定した。

最近の現場は、基礎表面に弾性系の塗装を塗る現場が増えた。
収縮クラック程度では、塗料が切れないことも多いですが、
今回のような太いクラックが入れば、塗装も切れます。

 

◆対策

構造クラックは、地盤沈下が原因で入ることが多い。
地盤調査を行い、適切な基礎補強判断の有無を行う。

 

 

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■(2)編集後記

仕事のやり方などにおいて、今回、大きな変革期になりそうです。
数年先だと思っていたことが一気に進むかもしれません。

スケジュールが落ちついてきたら、じっくり考えてみたいと思います。

 

 

 

事例1175 「ベタ基礎の構造クラック」

今週は完成検査のピーク。検査スケジュールだけでなく
打ち合わせ枠も一杯です。

今週を過ぎると、新築検査の手持ち数が一気に減ります。

 

■(1)今回の事例______________

「ベタ基礎の構造クラック」
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◆写真解説

ベタ基礎スラブの割れ。不同沈下が原因で中央部が真っ二つに割れた。

 

◆内容説明

ベタ基礎のスラブに入るひび割れで一番多い原因は「沈下ひび」。
コンクリートが固まる過程で下がり、ひびが入る。

写真は、隣地造成の影響により家が不同沈下、
ベタ基礎の耐力が持たず、ひび割れが入ったもの。

沈下ひびは、補修すれば問題はないが、
沈下を伴う場合は、家を持ち上げる必要がある。

 

◆対策

鉄筋量を増やせば、基礎にひび割れは入らず、一体で傾斜する。
ただし、経済的な設計は、支持地盤に適した鉄筋量の設計。
不同沈下が起きた場合は、適切な方法で修理を行う。

 

 

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■(2)編集後記

毎年4月、5月は、新築検査が一段落するため
1年で最も時間に余裕ができます。
会社を3月決算にしているのも、決算処理をする時間が取れるためです。

今年は、欠陥住宅検査の依頼を多くいただいております。
紛争処理の忙しさが続くかもしれません。

 

 

 

事例1174 「柱脚の錆 2」

今現在は、主に4月初めのスケジュール調整を行っております。

3月までに比べ、かなりスケジュールに余裕が出そうです。
今月は検査依頼が多く、休みはゼロ。
もう少し平準化されるとよいと思います。

 

■(1)今回の事例______________

「柱脚の錆 2」
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◆写真解説

錆による鉄骨柱の断面欠損の様子。
水まわりからの漏水が錆を進行させた。

 

◆内容説明

先回と同じテーマ。
鉄骨が錆びる状況が分かりやすいため選びました。

錆の進行は、粉状に錆が落ちて、欠損していくイメージですが
写真のように塊となってゴソッと剥がれる状態を何度も目にしています。

鉄はシロアリの心配はありませんが、錆の影響を受けやすいため
濡らさない施工が大事です。

 

◆対策

錆の原因となる雨漏り、水漏れを早期に発見し、修理をする。

 

 

 

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■(2)編集後記

普段、夕方に相談、打ち合わせを入れます。
夕方は現場の疲れが出やすく、また、いろいろな書類処理のあとで
頭が疲れていますが、否が応でも集中する場のため、問題はありません。

自分のペースで仕事をする場合、夕方以降にルーティンワーク。
欠陥住宅検査の書類などの最後のチェックは朝の時間を使います。

現場への早出があると、朝、移動で時間がつぶれます。
早出は結構多いので、朝の時間を事務所で取れるのは
数日しかありません。

 

事例1173 「柱脚の錆」

いろいろな事が延期、中止になっています。
私の仕事では、セミナー類に影響が出ています。
来月に予定していた一般向けのセミナーも延期。

セミナーがメインの仕事ではないため、
空いた時間は別のことにまわせます。

 

■(1)今回の事例______________

「柱脚の錆」
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◆写真解説

雨漏りが原因で柱脚が濡れ、錆が発生。
すでに表面が剥離し、断面欠損が起きている。

 

◆内容説明

雨漏りしている壁を解体したところ
鉄骨の柱脚がひどく錆びていた。

わずか3年ほどで1mm以上の断面欠損。
鉄骨柱の内部は空洞。
鋼管の厚さは5mm程度のため、同じように進行が続けば
15年で厚みゼロになる。

 

◆対策

錆の原因となる雨漏りを早期に発見し、修理をする。

 

 

 

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■(2)編集後記

雑誌の原稿は、ページ数が決まっているため
文字数を意識しながら書いています。
多めに書いて、最後に削り、
編集者がさらに削るため、多少文字数オーバー気味で原稿を送ります。

住宅の瑕疵検査の書類は、文字制限がありません。
原稿を書く癖で、削りそうになる時もありますが、
できるだけ無駄だと思える部分も残すようにしています。

今記載している書類は、瑕疵が多いため、かなりのページ数になりそうです。
これを書き終えるまで、時間の余裕がありません。

事例1168 「建物の動きが原因のひび割れ」

先週末、東京から帰ってきた翌日から風邪の症状が出始め、
木曜日の夕方、熱が38度以上まで上がりました。
病院で薬を処方してもらい、翌朝には平熱まで下がりましたが、
薬の影響なのか、眠く、頭が重たい状態が続いていました。

マスクなしで過ごしたことを反省しています。

 

■(1)今回の事例______________

「建物の動きが原因のひび割れ」
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◆写真解説

L字型形状の建物接続部分。
それぞれが異なる動きをするため、接続部にひび割れが入りやすい。

 

◆内容説明

建物の形状がL字型の場合、一般的には、
ビルやマンションなどでは、接続部分で躯体を分離し隙間をつくる。
低層の住宅では、分離せず一体化する。

構造検討で一体となって動くように設計すれば問題はないが、
住宅の場合は、不整形の建物においても、整形の建物同様の
構造検討で終わっている。

接続部が損傷するのが確実であっても、計算基準はクリアするため、
あまり重要視されていない。

 

◆対策

L型、凸型、コの字型などの家の場合、詳細な構造検討を行う。

 

 

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■(2)編集後記

広告などで「設計士」という文字をよく見かけます。
何気なく聞いていると疑問に思いませんが、どういう意味なんでしょうか。

「士」がつきますが、国家資格であるのは「建築士」で、設計士という国家資格はありません。
設計のプロを強調するなら「建築家」と名乗った方が良いのではと思います。
「建築家」は国家資格ではありませんが、「日本建築家協会」という団体があります。

結論として「設計士」は設計をする人全般のことだと思います。

 

 

 

 

事例1167 「屋根の勾配が反対」

今シーズン、名古屋の積雪は今のところなし。

生コンの凍結を心配するような気温にならないため
今年は、凍結の注意を1回も出していません。

 

■(1)今回の事例______________

「屋根の勾配が反対」
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◆写真解説

屋根の勾配が打ち合わせと反対。
最終図面を間違って作成したのが原因。

 

◆内容説明

実施設計に移る際、屋根の向きを設計者が誤って反転。
そのまま施工された。

最終図面に確認のサインをする際、
施主は1年近く、細かく打ち合わせをしてきたこともあり、
間違いがあるはずがないと思い、よく見ずにサインしてしまった。

ハウスメーカーは、明らかな設計ミスであるにもかかわらず、
責任は最終図面の確認を怠った施主にあると主張。修理に応じない。

本来、間違いがないことを確認するのは、設計者の仕事。
屋根の向きを間違えるのは、全くチェックしていないと思われる。

 

◆対策

図面にサインや捺印を求められた場合、
持ち帰るなどして、一通りチェックをする。

 

 

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■(2)編集後記

現役の不動産業者が集い、忖度のないつぶやきで話題を集める
ツイッター集団「全宅ツイ」の本を複数買って読みました。

普段から不動産に関するニュースをチェックしているので
目新しいものはありませんでしたが、不動産業界を知らない
これから不動産を買おうとしている人は、読んだ方が良いかもしれません。

私自身、3回、不動産購入の経験があります。
1回目は20代後半。完全に素人扱いされ、相手のペースでした。
2回目は30代半ば、競売の入札に参加。土地の引き渡しまでに妨害などもあり
良い経験をさせていただきました。
3回目は40代後半。相手はこちらを警戒していただいて、どちらかといえば
私のペースで取引ができました。

4回目がある時は、さらに上手く取引できると思います。
自分自身の経験を活かし、皆様にアドバイスをしていけたらと思います。

 

 

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『ホントは防げる欠陥住宅』書籍陰影

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2021年1月号~6月号連載
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『日経アーキテクチュア』書籍陰影

「現場で役立つ 欠陥防止の勘所」
2015年4月号~2021年4月号連載
『日経ホームビルダー 現在休刊』

『日経ホームビルダー 家づくりの軌跡が示す未来への道筋』書籍陰影