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事例1246 「壁量計算偽装」

複数棟ある欠陥住宅の書類作成に、
ここ2種間ほど追われていました。

書く仕事は慣れているとはいえ、
今回、かなりの時間を要したこともあり、
書き終えたときは、しばらく文字を打つ気に
なりませんでした。


■(1)今回の事例_____________

「壁量計算偽装」
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壁量計算

◆写真解説 

裁判で業者から提出された木造2階建て住宅の壁量計算書。
瓦屋根にも関わらず、屋根荷重の軽い方を選択し、
計算結果を改ざんしていた。

 

◆内容説明

完成後にもめている現場で、あと出しの計算書。
正しく計算すると、安全率は全くなく、基準ぎりぎり。
入力設定、壁量をごまかし、余裕があるように見せかけたと
思われる。

地震力の検討は、建物の重さが関係します。
軽い設定にすれば、耐力壁の量が少なくて済みます。

特例で構造審査が省かれている2階建て木造住宅。
現在、この特例廃止の法改正の話も出てきております。

こういった事例があると、やはり法改正の必要性を強く感じます。

 

◆対策

構造面で安心を得るには、
耐震等級を取るか、許容応力度計算をする。

 

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■(2)編集後記

週間天気予報を見ると、来週末あたりから
気温が上がってくるようです。

今年の冬は、寒かったですが、
ワークマンで購入したズボンが暖かく、
インナーを1回も履かずにシーズンを終えそうです。

値段も確か3,000円くらい。安くて、性能がよいです。

 

 

 

 

事例1243 「土台、大引きの大きな割れ」

今月は、週一のペースで欠陥検査を行っています。
今までの3回は全て県外、そのうち2回は飛行機移動。
移動や書類作成で忙しくしております。

現在も欠陥検査の問い合わせ、依頼が多く、
来月もこのペースが続くと思います。

 

■(1)今回の事例_____________

「土台、大引きの大きな割れ」
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木材ひび割れ

◆写真解説

土台、大引きの大きなひび割れ。
ひび割れによる断面寸法のばらつきが大きく、
床の水平精度が悪くなっている。

 

◆内容説明

完成後数年経過したあとに検査に入ったため、
もともとこの状態の材料を納入したのか
あとから割れたのかは断定できません。

しかしながら、床下の湿気がひどかったようで、
未乾燥材を入れてあとから大きく割れた可能性が高い。

木材はひび割れても、強度的に影響が無いケースがほとんど。
とはいえ、ここまで大きく割れると、寸法が広がり
床の仕上げ精度などに影響が出る。

床の水平を測定した結果は、良くありませんでした。

 

◆対策

今の時代、柱や梁に未乾燥材を使っている現場を
見かけないですが、屋根部や床部等は、未乾燥材を
使用している現場がある。

無垢材を使用する場合、乾燥材を使うか確認する。
(集成材は乾燥しています)

 

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■(2)編集後記

昨年検査に行った家。
和解の報告を頂きました。

和解なので、ある程度、妥協した内容もありますが
1件落着です。

相手業者は、基準などを無視して、好き勝手に
家を造っている印象。

趣味の延長で仕事するのは良いことだと思いますが、
ルールだけはきちんと守っていただきたいと思います。

 

事例1239 「基礎梁未施工」

書類作成、事務作業のため、週に1日か半日は、
事務所にいる時間を確保するようにしています。
とはいえ、なかなか実行できず、ここ2週間ほどは、
出張なども多く、事務所にいる時間がかなり少なかったです。

今年もあと残り1ケ月ほど、来月もこのペースが続きそうです。

 

■(1)今回の事例_____________

「基礎梁未施工」
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◆写真解説

1階耐力壁下(赤囲い部)に基礎梁(基礎の立ち上がり)がない。
図面どおりの施工でもなく、瑕疵保険などの検査で指摘を受けないのが不思議。

 

◆内容説明

1階の土台下には、連続した基礎の立ち上がりを設ける必要がある。
木造住宅の基本的な構造規定であるにもかかわらず、1年に1,2件
このような、おかしな基礎を検査で見る。

2階建ての住宅のため、確認申請で構造はチェックされません。
けれども、瑕疵保険の方で、基礎のチェックが入っているはず。
これで合格を出しているとすれば、検査に問題があります。

 

◆対策

2階建て住宅の構造審査省略を無くす動きも出ていますが、
いつになるかは、現時点では分かりません。

住宅の場合、設計事務所に依頼したとしても
構造担当は外注になるケースが多い。

外注先を自ら見極めるか、第三者に構造図面をチェックしてもらう。

 

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■(2)編集後記

今月は完成検査が多く、多くの現場で指摘に対する是正写真を求めています。
しかしながら、半数以上の現場で写真がなかなか出てきません。

対応が遅い理由は、最終代金を回収したので
対応が後回しになっている。

 

最終代金を払わないとカギをもらえないため、
渋々払うと、いろいろ対応をしなくなる。

対応をしないことを懸念し、最終代金を止めると
弁護士から内容証明が来る。

払っても、払わなくても施主側のリスクが高い。

業者選びを適正に行えば、こういった懸念はありません。

 

 

事例1236 「土台施工不良」

朝一番で投票に行ってきました。

支持政党は特になく、主に新聞からの情報で
誰に、どこの政党に入れるか判断しました。

 

■(1)今回の事例_____________

「土台施工不良」
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◆写真解説

基礎の水平精度が悪く、基礎パッキンの調整板だけを複数重ね
(写真は7枚)水平を調整し、土台を載せている。
正しい施工方法ではなく、構造耐力的に問題がある。

 

◆内容説明

基礎断熱の高気密仕様の家。
基礎の天端の水平精度を出さずに土台を敷くことはあり得ない。
もともとの施工計画がこれなら、知識があまりに無さすぎる。

正規のやり方で基礎パッキンを用いる場合においても
調整板は2枚までとなっている。したがって、
単体で複数枚の使用は、構造的に問題があるのは明らか。

また、高気密を目標にするなら、
土台と基礎間は気密漏れがないように、気密パッキンなどを入れる。
すき間をウレタンで塞いだだけのため、気密も低い。

土台部分であり、あとから修理が実質不可能。
検査書類には、基礎の重大瑕疵もあり
修理方法は「建て替え」と書きました。

 

◆対策

この方法が誰もダメだと気付かなかったのが不思議。
無知な業者に依頼しない。

 

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■(2)編集後記

関東の〇〇県での裁判。
調停委員が選任され、いきなり、明らかに間違った持論を言い出し、
とても驚きました。

私の想像ですが、実務を30年ほどやっていないか、
住宅の現場を全く知らない。

この方に住宅の建て替え裁判の判断を任せても良いわけがありません。
このようなことが珍しいかと言えば、そうではなく
私から見て、まともだと思える方の方が少ないです。

実務に精通し、知識の豊富な方は、本業が忙しく、
引退か、ゼミリタイアしないと
わざわざ裁判所の仕事をやらないと思います。

調停委員の交代、もしくは1名追加を弁護士から求める予定です。

 

事例1232 「柱の割れ」

明日の昼くらいから、愛知県も台風の影響が出そうです。

明日も朝から夕方まで現場予定を組んでいるため、
影響がないと良いですが。

 

■(1)今回の事例_____________

「柱の割れ」
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◆写真解説

集成材柱の割れ。
変位が少ないはずの集成材にも関わらず、完成後に太いひび割れが生じた。
壁の仕上げに影響する。

 

◆内容説明

貫通はしていませんが、最大幅は3mm。
反りも出て、石膏ボードの継ぎ目も開きます。

何らかの要因で水分を含み、その後乾燥したため、
大きなひび割れが発生したと思います。

無垢材を貼り合わせているため、
集成材でも、ひびが入ることがあります。
ただし、強度に影響が出るまでのひび割れの発生は稀で、
美観的な影響が多いです。

 

◆対策

特に夏場は、壁内の温湿度が高くなる。
外壁通気層の通気の確保、室内側の防湿材を確実に施工する。

 

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■(2)編集後記

今朝、チェックした新聞のニュース。
「長期優良住宅の省エネ性能を上げる」

地球環境を考慮してですが、新築住宅価格の上昇に拍車をかけそうです。

昨日の新聞では、中古住宅、マンションの価格高騰が書かれていました。
新築が値上がりして、中古住宅に人気が出ているが、
売りに出る物件が少なく、価格を押し上げている。

リフォームして売るケースも人気のようで
工事費、業者の経費分、値段は高くなります。

今までにない動きで、今後どうなっていくか注目しています。

 

 

 

ブラックボックス

ある大手ハウスメーカーの構造設計ミスの解明に苦労しております。

障害になっているのは「型式適合認定」。
1棟ごとに構造検査する必要がなく、確認申請が容易になるシステム。

認定の内容は、メーカーに資料開示をしてもらわない限り分からず、
おかしいだろうと思う設計がされていても、
部外者の私が根拠を示すことができません。

先日、伺った現場は、木造3階で「型式適合認定」を採用。
工事中に構造の設計変更をしており、その理由を開示してくれません。

おそらく、間違った構造計画をして、途中で気づき変更。

このケースでも、間違っているかどうかは、そこの会社しか気づけない。
確認検査機関も、認定内容を知りません。

設計する側からすれば、非常に便利なシステムですが、
ブラックボックス化されているのは、どうかと思います。

自社商品のノウハウが詰まっているため、開示が難しいかもしれませんが、
外部のチェック機能が一切働かないシステムの改善は、必要だと思います。

事例1229 「耐力壁、ビス間隔が広い」

昨日、2回目のワクチン接種をしました。
副反応は、1回目より、倦怠感が強く出ました。

ただ、この暑さが原因で、だるいだけだったのかもしれません。


■(1)今回の事例_____________

「耐力壁、ビス間隔が広い」
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◆写真解説

2×4耐力壁部の石膏ボードビス間隔。
@100mmで施工する必要があるところ、@150mmで施工されている。
クロスの上から磁石でビス位置を確認。

 

◆内容説明

準防火地域木造3階、省令準耐火構造、2×4(2×6)、
これらの建物は、防火や構造の規定で
石膏ボードのビス間隔が決まっています。

現場監督、大工が基準を知らないと
本件ように広く打たれてしまいます。

ビスが少なければ、所定の耐力が確保できません。

この件を指摘したところ、最初の回答は、「問題はない」。
バカなことを言っているなと思っていましたら、
その後、代理人の弁護士から書面で「修理する」という回答が来ました。
構造に関する重要なことなので、当たり前です。

その他、重大な瑕疵をいくつか指摘してますが、
修理する気がないようです。

 

◆対策

クロスを貼る前にビス間隔を確認する。

 

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■(2)編集後記

いつも欠陥住宅裁判でお世話になっている弁護士さんから
古い鉄骨建築物の簡易的な鑑定依頼を受けました。
(図面がないため簡易的な事しかできません)

築約50年、多少の問題はあると予想はしていましたが、
全く基本ができていない、自己流で建てられたものでした。
(検査済証も受けていないと思われる)

今まで地震がないため、倒壊せず建っていますが、
大きな地震が来れば、簡単に壊れる施工状態。

空き家問題など、中古住宅の活用が課題になっています。
古い建物を購入するときは、構造を判断できる建築士に
見てもらってから購入することをお勧めします。

 

 

事例1223 「土台芯まで腐朽」

本日検査に伺った家。工事中に相当床を濡らしたようでしたが
床下でカビの発生などはありませんでした。

本日、湿度は高くなく、床下結露や夏型結露が出てくるのは
来週くらいからだと予想をしております。

 

■(1)今回の事例_____________

「土台の芯まで腐朽」

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◆写真解説

雨漏りによる土台の腐朽。
ハウスメーカーの対応が悪く、弊社が壁を開けて確認したところ、
全て腐朽していた。構造材の腐朽は安全性にも影響する。

 

◆内容説明

室内の壁に黒ずみが出て、壁との取り合い部の床も濡れるようになった。
ハウスメーカーに伝えるものの、特に原因を調べようとせず数年が経過。

写真は、外壁の下を開けたもの。
土台以外に耐力壁のパネルなども木材も腐朽。
壁内は大量のカビが発生していた。

雨漏りの発見が遅れた要因は、
室内側の防湿シートと合板の施工。

屋内外に施工されている合板が水や湿気を吸い、
防湿シートが室内側への湿気の移動を阻止。
異変に気付いたときには、躯体の腐朽がかなり進んでいた。

 

◆対策

工法、使用材料によっては、雨漏りの発見が遅い。
少しの異変に対しても、不具合を疑ってみる。

 

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■(2)編集後記

今月から来月にかけて、新築検査の基礎配筋検査が多くなります。

着工が集中するのは、たまたまなのか
業界全体の傾向か分かりませんが、
例年より、新築検査の着手や完成のタイミングが
偏っている印象があります。

 

 

 

 

基礎配筋仕様

ベタ基礎の鉄筋量が、昔に比べると増えて、複雑になっております。
仕様規定での計画だけでなく、計算や構造検討の実施が
増えていることが要因です。

鉄筋量が増え、複雑化することは、言葉だけ聞けば、頑丈なイメージで
良いですが、トレードオフで施工性の問題などが出てきます。

具体例として、配管スリーブの納まり、鉄筋のあき不足、
多重結束等の問題が増えます。
また、基礎梁が多くなることで、床下換気の効率が悪くなり
中間部で夏場に結露の発生も増えています。

大手ハウスメーカーは、施工を容易にする改善を積極的に行っています。
職人の技量にばらつきがあるため、誰が施工しても
問題のないレベルになるよう、設計仕様を改善していくことが重要です。

事例1214 「筋交いの大きな欠損」

今週は遠方での欠陥検査と3日間のマンション検査で
予定がほぼ一杯。

もともと3月は1年で一番忙しくなる月。
プラス今年は遠方の予定が多く、空いている日が少ないです。

 

■(1)今回の事例_____________

「筋交いの大きな欠損」
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◆写真解説

筋交いの大きな欠損。節が取れたことで空洞ができた。
構造の欠点となる。

 

◆内容説明

「筋かいには、欠込みをしてはならない」
(建築基準法施行令第45条)

筋交いは、大きな力がかかるため、材料に欠点があると
そこで破断しやすい。

抜け節は、欠込み同様の断面欠損。
本来は工場で製品検査をすべきであるが、
検査なしで出荷されるケースがほとんど。

 

◆対策

節のない、LVL(単板積層材)を使う会社が増えている。

 

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■(2)編集後記

このところ指摘で多いのは、エコキュートの固定不良。

あまりに指摘する率が多いため、日経ホームビルダーの今年2月号で
基準を解説しました。雑誌発売前と後で、指摘率の変化がないのは残念です。

ある大手メーカーの現場でこの指摘をしたところ、
本社に修理をすべきか確認しますという回答が監督からありました。

告示違反だから、本社に確認する必要はないはず。
本社がいいと言えば、基準法や政令、告示を守らなくてもよいと
教育を受けているのでしょうか。

東日本大震災の被害から法改正になったこの基準。
10年経過した現在でも認識率は40%くらいだと感じております。

2000年に法改正された木造住宅の金物や防火の件も
指摘をし続け、雑誌に取り上げ、ようやく最近では90%以上は
認識された感じです。

無知でも仕事ができ、それがまかり通る業界です。

 

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2021年1月号~6月号連載
『日経アーキテクチュア』

『日経アーキテクチュア』書籍陰影

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2015年4月号~2021年4月号連載
『日経ホームビルダー 現在休刊』

『日経ホームビルダー 家づくりの軌跡が示す未来への道筋』書籍陰影