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耐震等級3
トルコ地震の被害状況を、昨日TVで見ました。
想像していたより、建物がひどく崩壊しています。
倒壊の原因は、おおよそ予想が付きますが、詳し
い情報を拾っていきたいと思います。
日本の住宅においては最近、SNS等の影響で、
耐震等級3の仕様が増えています。
等級3は最高等級。同じ等級3でもぎりぎりの家
、5割増し強い家など、耐力に幅があります。
大手メーカーは、耐震等級3が標準仕様になって
いる会社が多いですが、大半は、ぎりぎりで設計
されています。(何社か、計算書の結果を確認し
てます)
別の言い方をすれば「経済設計」。売値、原価を
抑えるため、そのようなシステムになっている
ようです。
ぎりぎりの設計は、構造部材の耐力が机上の数値
より劣る場合や施工不良、計算や構造図と現場の
不整合等による耐力低下をカバーできません。
(実質、耐震等級3の性能がない懸念があります)
1,2割くらいの安全率を見込むべきだと思います
が、そのような考えはないようです。
既存住宅の耐震改修工事計画では、どのくらいまで
耐震性を上げるか、数字で示すことが多いです。
(基準の3割増しなど)
安全率を上げるほど、コストがかかりますが、選択
ができるので、建築主も納得できます。新築におい
ても、建築主が構造耐力の安全率を選択できると良
いですね。
事例1277 「レベラー硬化不良」
エアコンへの強いこだわりはありませんが、事務所
のエアコンを交換しようと思い、エアコンに詳しい
方にメーカーごとの特徴を教えてもらいました。
基本的な性能の違いは少ないですが、送風方法や
掃除の面で特徴が分かれるようです。
■(1)今回の事例_____________
「レベラー硬化不良」
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◆写真解説
基礎天端レベラーの硬化不良。
水を多く入れたため、硬化してもやわらかい。
基礎の一部で強度が求められる部分。
◆内容説明
レベラー材は粉状の材料と水を混ぜて作る。
セルフレベリング、つまり流すだけで水平になる
特性があり、水を多く入れるほど、施工しやすい。
本来、コンクリートより強度が高くなる材料、
強度不足は、施工不良です。
◆対策
基礎完成時に硬化不良の検査を行う。
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■(2)編集後記
昨年の長期優良住宅の省エネ基準の改定に続き、
今年はフラット35等の省エネ基準の改定があります。
基準が変わるときは、間違いが起きやすいため、今年、
省エネに関する内容は、検査の重要チェックポイント
になります。
事例1262 「屋根タルキ破損」
昔は台風に伴う水害が多かった記憶がありますが、
最近は、台風でなくても水害が多く発生しています。
今日も、いきなり強い雨が降るなど、
7,8月は暑いというよりは、雨が多い印象です。
■(1)今回の事例_____________
「屋根タルキ破損」
______________________
◆写真解説
屋根タルキの破損。
釘を打ち損じるなどして、材が大きく欠けた。
補修や補強の措置はない。
◆内容説明
屋根タルキと母屋の接合部。
紫色の釘が、打ち損じしているのが分かります。
通常、余分に材料は入ってこないため、当日の取替は難しい。
けれども、構造材でもあり、後日、添え木等で補強すべきです。
屋根裏で見えなくなる箇所ということで、
社内検査などもパスした可能性があります。
◆対策
天井を施工する前であれば、天井裏に入らなくても確認可能。
建て方完成時に、小屋組を見上げてチェックする。
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■(2)編集後記
先週末、久しぶりに車での長距離移動で、
行き帰り共に、新東名高速道路を利用しました。
その時に感じたことは、静岡県内の最高速度120KM区間で、
以前より、車の流れが確実に早くなっている。
往復共に、3車線のうち、中央の車線においては120~130Km以上
で流れ、追い越し車線は130~140KM以上のペース。
トラックと一部の乗用車以外は、飛ばしている人が多い印象です。
走行ペースが速いので、新幹線との時間差が少なくなります。
乗り継ぎなどを考えると、車移動の選択が増えそうです。
事例1258 「不同沈下で基礎が折れた」
先週の土曜日の朝、新幹線内で携帯の電波が
立っていないことに気づきました。
2度ほど再起動したあとに、AUの電波障害を
知りました。
ネットは時々つながったのと、もう1台ソフトバンク
携帯を持っているので、それほど困りませんでした。
■(1)今回の事例_____________
「不同沈下で基礎が折れた」
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◆写真解説
ベタ基礎スラブの割れ。
不同沈下が原因で、スラブが折れて、ひびが入った。
◆内容説明
家の中央部あたりから不同沈下していて、
丁度、沈下の起点付近でベタ基礎のスラブが折れていた。
今は地盤調査を行うので、昔ほど大きく沈下しません。
にもかかわらず、地盤保証は大きく沈下しないと
保証対象となりません。
つまり、いくら基礎が折れていても、傾斜角が保証基準
を超えないと保証対象外。保証会社に有利な内容です。
◆対策
地盤調査会社に判断を丸投げしているケースは判断ミスが多い。
軟弱地盤の場合で、判定に疑問がある場合は、
セカンドオピニオンを求める。
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■(2)編集後記
6月に実施した欠陥検査の数が多く、未だに書類作成に
追われております。
1件終わったら次に着手ではなく、優先順位を付けて、
数件の書類を並行して作成します。
まとめて1件ずつ仕上げるよりも、途中に時間を置くことで
考え直す時間が増えるなどのメリットがあります。
あと残りは、鉄骨造と鉄筋コンクリート造の建物。
木造とは違うパターンの瑕疵が多くあり、
作成に時間がかかっております。
事例1254 「多数のボルト締め未施工」
裁判所に出す意見書作成がいくつか重なり、
書く仕事が忙しかったです。
意見書と言っても、私見を述べるだけでは
効果がなく、裏付けデータが重要になります。
資料を探して揃えるまでが、結構時間がかかります。
■(1)今回の事例_____________
「多数のボルト締め未施工」
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◆写真解説
鉄骨造、ボルトの締め忘れ。
小屋裏だけで8ケ程、締め忘れがあった。
検査を全くしていないと思われる。
◆内容説明
軽量鉄骨の家。新築ではありませんが、欠陥検査で
小屋裏に入ったところ、ボルト締めの未施工を発見。
ボルトは鉄骨を接合する重要な部品。
これが締められていない、検査されていないのは
通常ではあり得ないが、いろいろな業界で検査不正が
発覚していることを考えると、かなりの率で同じような
事があると思われる。
◆対策
今回のような小屋裏の部分は、高所ですが、
2階から目視で締まっているかの判断は可能。
構造が見えるうちに、目視でボルトを見るなど。
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■(2)編集後記
家を買う方の見積書をチェックすると、昨年に比べ
明らかに価格が高くなっていることがわかります。
上げ幅の差はあるものの、価格を据え置いている
業者は皆無だと思います。
また、最低賃金で働く外国人が増えていますが、今
でも現場は職人不足です。今後、人件費も上がって
いくのは確実で、早めに買った方が得だと営業攻勢
をかけられるケースも増えています。
その他には、名古屋市の高級住宅街の購入を検討して
いる人には、インフレ傾向が続くから、価値が下がら
ない土地を買っておくとよいと勧める営業マンもいる
ようです。
その一方で、金融、不動産バブルがはじける予想を
する専門家もいるなど、どれを信じるかは、自分で
判断するしかありません。
腑に落ちない対応
今現在、軽量鉄骨のボルトの緩みで争っている住宅があります。
築数年後、室内の工事をした際に、ボルトの緩みが発覚。
私も現場で立ち合い、トルクレンチでボルトを締めた。
目視で緩みは分からないが、トルクレンチで締めるとボルトが
締まる。数は1,2本ではなく、確認できたボルトにおいて、
結構な確率でボルトが締まった。
私が腑に落ちないのは、
ハウスメーカー側は緩みを認めてはいるものの、
原因について、徹底的に調べようとしない。
原因は、工事中の締め忘れか、経年で緩んだの
2つしか考えられない。どちらにしても会社にとって
都合が悪いため、原因を追究する気がないようです。
緩みの数から、締め忘れの可能性は低く、私はあとから緩んだ
可能性が高いと考えています。原因はボルト自体の不良。
そうであれば、構造部分でもあり、リコールすべきです。
施主が、この件の情報を国土交通省や市に入れても
どの行政も関心を示さず、裁判を勧められる。
大量生産品で、安全にかかわる事であっても、
行政は、世間が騒がない限り動きません。
事例1252 「鉄筋切断」
GWの直前と直後に遠方の検査を組んでおります。
コロナの影響で、未だ飛行機の便が少ない、欠航しているなど
の影響を受け、2ケ所ともハードなスケジュールを組みました。
新型コロナで制限が出てから、3回目のGW。
そろそろ、元の状態に戻って欲しいですね。
■(1)今回の事例_____________
「鉄筋切断」
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◆写真解説
コア抜き(孔のあとあけ)したコンクリート片。
よく見ると鉄筋の断面が見える。
鉄筋の位置を確認しないまま、基礎に孔をあけ、
鉄筋も切断した。
◆内容説明
コア抜きを社内規定で禁止しているにもかかわらず
コア抜きをして、鉄筋まで切ってしまった。
現場監督の段取りが悪く、設備業者がスリーブを
入れ忘れたことが原因。
今回の例では、強度とかぶりの問題があるが、
ハウスメーカー側は、強度は計算により問題ないことを
確かめ、かぶり不足については、あけた孔を塞いだ。
鉄筋コンクリートのマンションやビルでも
コア抜きにより鉄筋が切られていることが多く、
割とよくある事例です。
◆対策
コア抜きの必要がある場合、鉄筋位置を調べ、
かぶりを確保して孔をあける。
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■(2)編集後記
建築費の高騰は、木造より、鉄筋コンクリートや重量鉄骨で建てる方に
影響が大きいようです。
最近、これらの構造で建築する複数の方の相談に乗りましたが、
建築業者が予想外の金額を提示しているようです。
特に住宅においては、木造に比べ、施工する業者が限られます。
競争が木造より少ない分、リスクを取ってまで仕事を取ろうと
しないようです。
建築費は今が一番安い。今後、さらに上がるという予想をしている人も
多く、情報収集を続けたいと思います。
事例1250 「鋼製束の脚、未固定」
昨日の朝、地震が発生した際、梯子の上にいて、
大地震だったら危ないと思い、すぐ下に降りました。
割と震源に近い場所にいたので、
結構揺れを感じました。
■(1)今回の事例_____________
「鋼製束の脚、未固定」
______________________
◆写真解説
鋼製束の脚が浮いている。ボンドや釘で固定されていない。
人が歩くたび上下に動き、床なりの原因となる。
◆内容説明
1階の床を支える鋼製束。シロアリや腐りに強く、高さ調整もしやすい
ため、ほとんどの現場で使用されています。
木(大引き)がやせると、上に引っ張られ、脚が浮くため
コンクリート釘とボンドで固定するのが一般的です。
(メーカーによって多少、施工内容が異なります)
写真の現場は、8割ほど、脚が未固定。
数年経過し、大半が浮いている状態で、歩くと床がたわむ。
構造的な問題ではありませんが、
床なりの原因にもなりやすく、きちんと脚を固定する必要があります。
◆対策
施工時または、完成時に固定をチェックする。
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■(2)編集後記
ブログの更新が空くことが増えています。
書く気力がない、休んでいるわけではありません。
とあるリノベーションの計画、施工指示等に時間を取られています。
使用されている建材などが特殊なため、難しく、時間を取られます。
検査をやめて、設計や施工を昔のようにやろうとしている訳では
ありません。一般的な業者が手を出さないような、特殊案件に限り、
紹介などで、どうしても断り切れない場合のみ、関わっております。
検査でたくさんの現場を見てきた経験が、これらの仕事にも
役に立っています。
事例1249 「スリーブ孔拡大」
昔は3月が仕事のピークでしたが、
最近は2月に分散する傾向で、3月に検査が
集中するということがなくなりました。
それでも、思っていたより、バタバタはしていて、
この3連休も、仕事しております。
■(1)今回の事例_____________
「スリーブ孔拡大」
______________________
◆写真解説
基礎スリーブ孔。
配管勾配の高さが合わず、上に孔をあとあけした。
鉄筋を切断していないものの、孔拡大に対応した
補強ができていない。
◆内容説明
当初設置したスリーブ位置が低く、配管勾配を取るために、
既存のスリーブ上に追加で孔をあけた。
基礎に孔をあけること自体、規定どおりであれば問題ないが、
孔の大きさに応じて、補強筋を入れる必要がある。
あとから補強はできないため、構造耐力上、問題がある。
もう一つNG施工が写っている。
写真一番右、2つのスリーブ孔の近接。
本来、規定の距離を取る必要がある。
◆対策
住宅の設計においては、設備設計を詳細に行う会社は少なく、
排水管は高さの制約がない、人通口を通す例が多い。
スリーブを設ける場合は、詳細な配管図をつくる。
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■(2)編集後記
先日、良い報告を頂きました。
昨年欠陥検査を行った家、話し合い(裁判外)の結果、
建て替えが決まりました。
建て替えや買取りで終わるものばかりだと良いですが、
好ましくない結果で終わるものも、たくさんあります。
紛争になった際、最終結果に影響を及ぼすのは、
不具合の内容以外に、依頼先の対応が関係します。
依頼先を決める時、もめた時の対応の良し悪しまで
考えて決める方はいないと思います。
紛争解決を多く見ている私からすれば、
もめる確率はわずかですが、万が一のために
そこを考慮することは重要だと考えています。
契約までは、どの営業マンもいい顔をするので、見極めるのは
難しいです。とはいえ、情報収集をすれば、分かる場合もあります。
弊社は、大手や東海地方の有名工務店であれば、
そのあたりの情報は即答できます。
(対応が悪い会社においては、マイナスの情報であり、
電話やメールではお答えはできません)
事例1247 「床の傾斜」
この前伺った家。事前のやり取りの際に、
ハウスメーカーが検査に入るのを抵抗して
いる感じがありました。
検査に入り、その理由がわかりました。
■(1)今回の事例_____________
「床の傾斜」
______________________
◆写真解説
2階床の過度の傾斜。水平器は18/1000の表示。
梁取り付け位置の高さの誤差が原因。
◆内容説明
床の水平精度を誤差ゼロで施工することは、いくらお金を
積まれても技術的に不可能です。どの家でも数ミリの誤差が
ありますが、誤差が大きくなると、歩くだけで傾斜を感じたり、
物を置くと斜めになってしまいます。
床の傾斜がある家は案外多いです。その原因は、工事中に重い資材を
集中して置いて、梁がたわむ、基礎の水平精度が悪いなど。
工事中、水平精度を確認すれば、仕上げで調整は可能です。
今回の例は、1階の天井をめくり、梁を確認したところ
梁の高さの差が大きかった。
つまり、加工精度の不良が原因だと思われる。
大手ハウスメーカーは、社内基準で床の傾斜の基準を決めています。
地元工務店は、品確法の基準を持ち出し、3M以上の距離で18mm
以上(傾斜角6/1000)高低差がないと直さないという会社が多い。
この数値は普通ではあり得ないレベル。例えば6畳の部屋の長手方向
(約3,5M)の端と端で、21mm以上の高低差になります。
基礎の天端の誤差は大きくても5,6mmで押さえられるため、
地盤沈下がないかぎり、その数値にはなりません。
地盤沈下の基準と混同せず、社内基準などで判断することが重要です。
◆対策
完成後の修理は、フローリングをめくるなど、大変な工事なる。
工事中に基礎天端、床の傾斜を確認する。
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■(2)編集後記
SNSは住宅系の情報収集のために、時々見ています。
先週、業界側の方が複数の匿名の者に攻撃されていました。
その後の対応を見ていましたが、攻撃が続き、
最終的に、アカウントを閉じてしまいました。
私の場合、数年前までは、応援してくれるメッセージばかりで
したが、昨年あたりから、攻撃を受けるようになりました。
言っていることは大半が間違っていますが、
あえて反論はせず、一般的な対応をしています。
攻撃が増えることで有益な情報発信が減っているのは
非常に残念です。
有限会社カノム 名古屋市守山区小幡南三丁目20-28 シャトー小幡駅前 303
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