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事例1034 「けた行き筋交いの割れ」

SNSなどにどこまで投稿して良いかなどの相談をよく受けます。
答えとして、相手や状況によって、条件は様々です。

やりすぎてマイナスになることもあります。
バランスが大事だと思います。

TVなどのマスコミを入れる時も
プラスになるやり方、マイナスになるやり方があります。

一概に何でも公開すればよいというものではありません。

 

■(1)今回の事例______________

「けた行き筋交いの割れ」
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◆写真解説

小屋組の変形を抑える「けた行き筋交い」の割れ。
固定部が割れてしまうと、その役割を十分に果たさない。
一般的には、釘打ちで割れにくい、もう少し幅広の材料を使う。

 

◆内容説明

けた行き方向の倒れを防ぐ構造材であるが、
1,2階などの壁に入れる筋交いと違い、あまり重要視されていない部材。

この部材に関する記載は、フラット35の仕様書にあるくらいで、
設計や図面で特に指示はせず、大工任せで付けているケースが多い。

使用した材の幅が薄く、厚みが厚いため、
機械で釘を打ったら簡単に割れてしまったと思われる。

 

◆対策

構造検査時に留めつけ、割れをチェックする。

 

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■(2)編集後記

相談は有料で対応しています。
いきなり電話をかけてきても、無料相談は取次ぎをしておりません。
相談が無料ですと、希望される人が多く、相談に時間を取られ業務に支障が出ます。

有料でも毎週、何名かの方が相談に来られます。
有料相談なので、相談して良かったと思っていただきたい。
そのため、普段から本や資料を読むなど
インプットにたくさん時間を割いています。

先週来た方のうち2名の方が、1時間5万、10万円払っても良いくらい
の内容だったと言ってもらえました。

そのうちブログなどで、回答例などを紹介していきたいと思います。

事例1025 「土台の大きな欠損」

新築検査はひと段落しましたが、単発の検査依頼は多いです。

GW前まで余裕があった5月のスケジュールも
週末を中心に埋まりつつあります。

 

■(1)今回の事例______________

「土台の大きな欠損」
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◆写真解説

構造材である土台に大きな穴をあけ、ガス管を通した。
穴の径は土台(90mm)の半分以上。

 

◆内容説明

給湯器から建物内に入る経路で、土台部分を貫通させた。
通常は、基礎部分のスリーブを通すことが多い。

床下で目につかない個所であり、職人の勝手な判断で施工したと思われる。
大きな力がかかれば、土台が分断し、基礎と離れてしまう恐れがある。

 

◆対策

設備配管経路を事前に決めておく。設備図面をつくる。

 

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■(2)編集後記

毎日現場で、いろいろな情報を拾います。
また、新たな発見をすることも多いです。

最近、ある人気建材の大きな欠点を知りました。

どんな材料でも一長一短ある。
短所を隠し、長所を誇大に表示している傾向が強い。

宣伝に騙されないように、見極める目を持つことが大事ですが、
専門の研究者でない限り、それは難しい。

新しい建材を選ぶときは、慎重になったほうが良いと思います。

 

 

事例1007「耐力壁線の不備」

先週あたりから、メールなどの返事が遅れぎみです。
また、ブログの更新も空くようになっています。

しばらくスケジュールがきついため
このような状態が続くと思います。

明日もやや遠方への欠陥検査。
朝早く出て、1日現場に入り、夜遅く帰ります。

 

■(1)今回の事例______________

「耐力壁線の不備」
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図は枠組壁工法建築物設計の手引き 一般社団法人 日本ツーバイフォー建築協会編
黒い壁が耐力壁。

◆写真解説

2×4の構造規定。耐力壁線を検討していない家が多い。
開口部の長さ、相互の距離、囲われる面積の規定を守る必要がある。

 

◆内容説明

2階建ての小規模木造住宅は構造審査が省略されている。
確認申請が下りていても、構造が適合しているとは一概には言えない。

ツーバイフォーの知識がない建築士が設計をした家を検査すると
基準法の構造基準を守っていない家を多く発見する。

よく見かけるのは「耐力壁線」の検討を行っていない。
在来工法の壁量計算では耐力壁線を検討しないため、
ツーバイフォーでも見落としがち。

告示1540号に耐力壁線の規定がある。
・相互の間隔は12M以下
・開口部は4M以下。開口部の合計は耐力壁線の長さの4分の3以下。
・囲われる面積は40平米以下など (補強をすればそれ以上も可)

検査では、大きな開口がある。開口が連続している。25畳を超える部屋がある場合
耐力壁線の不備を疑ってみます。

 

◆対策

ツーバイフォーを理解している建築士に図面をチェックしてもらう。

 

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■(2)編集後記

先週末、ようやくデータをクラウド化しました。

出張が多く、紛失の可能性もあるため、
これからはパソコン内のデータは最小限にします。

IT関連の進化についていくのが大変ですが、
いろいろ情報を集めて、活用していくつもりです。

 

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3月にセミナーを行います。建築関係者向けです。
せっかくのライブであり、当日お渡しする資料にはない
普段ブログでは書けない話も多く盛り込みます。

3時間、私が一人で話をします。

「欠陥施工のトラブル防止術」

欠陥施工の事例、欠陥の対処法などを説明します。

日時 2017年3月9日(木) 13:00~16:00

会場 東京国際展示場「東京ビッグサイト」会議棟6階
東京都江東区有明3-11-1

定員 100名

料金 一般価格:25,800円(税込)
読者特価:16,800円(税込)
※「日経ホームビルダー」「日経アーキテクチュア」定期購読者の方は読者特価でお申し込みいただけます。

申し込みはこちらから
http://kenplatz.nikkeibp.co.jp/atcl/books/14/505057/122600006/

今回セミナーは建築・建材展のイベントの一つです。
建築・建材展の入場は別途2.000円必要です。事前登録をすると入場料が無料になります。
https://messe.nikkei.co.jp/ac/

事例1001「制震装置組み立て不備」

明けましておめでとうございます。
本年も宜しくお願い致します。

本日から仕事はじめです。
今日は、連絡業務をこなすのに精一杯。

夜に沖縄入りするため、夕方までしか仕事ができません。
本格的な名古屋での仕事開始は7日(土)からになりそうです。

 

■(1)今回の事例______________

「制震装置組み立て不備」
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◆写真解説

制震装置の固定ボルト。
ナットを締め忘れたまま、断熱材が施工されている。
組み立て不十分できちんと機能を果たさない。

 

◆内容説明

大手メーカーでは標準装備になっている制震装置。
地元工務店での採用率も年々上がっている。

写真は大工がきちんと組み立てしないまま、断熱材が施工された。
未施工は1箇所だけではなく、ほとんど全てのナットが締まっていなかった。

断熱材や石膏ボードで隠れてしまうので施工不備がばれにくい。
また、構造検査時に未施工であることも多いので、
指摘を受けることが少なく、大工もあまり重要視していないと思われる。

制震装置はきちんと組み立てて効果が発揮される。
接合部の緩みがあってはいけない。

 

◆対策

忙しくなると忘れが増える。
隠れる前に据え付けのチェックを行う。

 

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■(2)編集後記

年末、WEBシステムが攻撃される恐れがあると
サーバー会社から連絡が入りました。

年末であるにもかかわらず、HPの会社が対策を講じていただき
安心して休みに入ることができました。

いろいろと外部の専門家に任せられるとよいですが
弊社のような零細組織は、業務に関することや顧客管理は自社で行うしかありません。

忙しくなると弊害も出てきます。
昨年末までに年賀状を処理しきれませんでした。
依頼頂いているお客様などへも出すことができず、
大変申し訳なく思っております。

今年はスタッフに1日余分に出勤してもらいましたが
他の仕事で時間を取られ、そのまま休みに入ってしまいました。

事務スタッフの補強を検討中です。

事例994「補強筋の位置ずれ」

昨日から寒くなりました。
これからはコンクリート打設時の気温を気にします。

打設中や打設後に凍結の恐れがあるときは
打設を中止してもらいます。

 

■(1)今回の事例______________

「補強筋の位置ずれ」
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人通口補強筋

◆写真解説

基礎開口部の補強筋。
真下に施工する予定が、左側に大きくずれている。
(赤い四角が基礎の開口、黄色の四角が地中に施工した補強筋、位置が合わないといけない)

 

◆内容説明

掘り方の際に位置を間違え、やり直しが面倒なため
ずれたまま、配筋検査を通そうとした。

基礎に開口を設けない方が良いが
それでは床下を点検できない。

開口をあけることによって、構造的に影響が出る場合は
写真のように補強を設ける。

構造計算が不要な木造2階建ては
補強の検討をしないことが多い。

最低でもスラブ内に補強筋を入れるなどした方が良い。

 

◆対策

補強筋は図面で指示がある。
配筋検査時に補強筋をチェックする。

 

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■(2)編集後記

最近のブログで何回か書いていますが、業者に嫌われることが多い。
今度は、一部上場企業が検査立ち合いを拒否してきました。

この会社は改善意識がなく、検査に入るたびに指摘が出る。
修理費用の累計が数億円になっていて、恨んでいるかもしれません。
第三者検査会社としては、嫌われる数が多い方が、良い宣伝になります。

来週は、民事再生を果たした会社の瑕疵検査に入ります。
今年だけでも、2件の大修理をさせました。
倒産したときに再生の道を選ばず、
解散してもらった方が世の中のためだったと思います。

事例990「構造上の欠点」

配筋検査の指摘で「かぶり不足」は相変わらず多い。
かぶりはコンクリートを打ってしまうと分からなくなるため
職人があまり注意しない。

非破壊試験の存在を知らないのでしょう。

 

■(1)今回の事例______________

「構造上の欠点」
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梁の割れ

◆写真解説

梁の端部。大きな節の真ん中が割れている。
貫通はしていないが、火打ちのボルトが取りつく箇所。
大きな力がかかったときに破壊しやすい。

 

◆内容説明

ひび割れ部にボルト貫通が2本。さらに火打ち梁の力がかかる。
この位置のひび割れた大きな節は構造の欠点となりやすい。

木材に節は付き物。
節を嫌っていたら、無垢材で家は建てられない。
構造的な弱点にならなければ、節やひび割れがあっても問題は無い。

プレカット工場で材料を判断してくれればよいが、
それは期待できない。

 

◆対策

構造検査時に確認する。
是正は補強を検討する。

 

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■(2)編集後記

体調不良時の仕事の遅れを取り戻すため
時間的な余裕がありません。

週末も予定が一杯。
静養十分で体が元気な分、頑張って遅れを取り戻そうと思います。

事例985「スラブ筋 加工ミス」

明日から瑕疵検査が続きます。
また受け持つ紛争ごとが増えそうです。

瑕疵検査は1日現場に入りっぱなしになるため
連絡業務などが遅れると思います。

 

■(1)今回の事例______________

「スラブ筋加工ミス」
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ベタ基礎スラブ筋

◆写真解説

ベタ基礎スラブ筋の端部。
本来立ち上がりの鉄筋外側で曲げるところ(赤線部)、
加工ミスにより長さが短く、内側で曲げている。定着長さ不足。

 

◆内容説明

新築の配筋検査で指摘。

図面では150mm以上、立ち上がり部に定着を取るようになっている。
加工ミスにより100mm程度しか取れていない。
スラブ筋と立ち上がりの接合部が弱くなる。

職人と社内検査員は気づいているはず。
やりかえが大変なためと、コンクリートを打てば分からなくなるため
そのままにした。

 

◆対策

配筋検査で細かく見れば、このような施工は見落とさない。

 

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■(2)編集後記

このところ仕事が非常に混んでおります。毎日、時間に追われています。
ただし、新規依頼を断るまでではありません。
直近1週間は予定が混んでいますが、それ以降は予定を組める状態です。

本業以外に取材や耐震補強計画の依頼なども頼まれたりします。
自分でなくてもできることは、他に任せたりしています。

このような状況で現在、はっきりお断りしているのは、
「電話での質問、匿名のメール相談」
もともと、無料相談は行っていませんが、困っているなら助けてあげたいです。
ただし、状況や相手がよくわからないのに答えるのは間違いのもと。
現場や写真を見ないと判断を誤る可能性があります。

ある医師が言っていました。
「電話での問い合わせが多いが、必ず来院するように伝える。
電話だけで完結して、判断を間違えても責任を取れない。」

建物も同様です。

事例982「2階床合板釘未施工」

今週、TVの撮影があります。

このところTVで欠陥住宅を取り上げる頻度が上がっています。
住宅購入時、気を付けてもらうきっかけになればよいと思います。

 

■(1)今回の事例______________

「2階床合板釘未施工」
_______________________

2階床合板釘未施工

◆写真解説

2階床合板釘未施工。釘の未施工は耐震性能が弱くなる。

 

◆内容説明

いくら壁を強くしても、2階床や屋根面が弱ければ
揺れやすい家となります。

最近の木造住宅は、火打ち梁を省略して
厚さ24mmなどの合板で床を固めます。

写真は肝心の釘打ちが未施工。
新築検査時の弊社の指摘率としては50%を超えます。
釘の数が多いため、社内検査で見落とすケースが多い。

通常、構造検討が、壁量計算だけの2階建ての木造住宅。
耐震等級2,3の計算では、床や屋根の強さも計算します。
確実な施工を行わないと、耐震等級を確保できません。

1階床は、土台が基礎に緊結されているため、計算はしません。

 

◆対策

構造検査時、2階床の釘を全数検査する。

 

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■(2)編集後記

この前、現場で指摘を出したところ、
「設計担当に確認し、OKであれば直さない」と職人が言った。

強度的に明らかにおかしな施工で、図面どおりでもない。
保険会社の検査は、ミスがあっても設計者がOKだと言えばOKになるので
それと混同しているようでした。

結局は直させましたが、この職人は逃げることばかり考えているようです。
他にも加工ミスした材料をそのまま使っていたり
ミスを知っていながら、直さない職人でした。

いい職人さんが多い中で、久しぶり悪い職人に当たりました。

事例978「鋼製束施工不備」

今日は家から現場へ直行。

多治見市へ行く途中、瀬戸市の山中を車で走っていると
休みのような気分になりました。

 

■(1)今回の事例______________

「鋼製束施工不備」
_______________________

1028

◆写真解説

1階床組。鋼製束の長さが短く、間に木を挟んでいる。
正規の施工ではなく不安定な接合。

 

◆内容説明

1階床を支える鋼製の束。
発注ミスなのか、長さが短い。

材料を取り直すと余分な費用が掛かるため、
間違って注文した材料を使ったと思われる。

大地震時に束が外れ、床が抜ける可能性あり。

 

◆対策

床下を確認する。

 

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■(2)編集後記

今日は忙しい1日でした。
現場を3件まわったあと、夕方からはセミナー。
100名くらい入る会場で講演しました。

いろいろな話し、説明をしますが、全てを覚えてもらうのは無理です。
2つ、3つくらい記憶に残ってくれたらよいと思い、話をしています。

事例974「梁接合部の割れ」

台湾へ被害をもたらした台風。
風速85mは信じられない数字です。

この規模の台風が来たら今の基準でも家は持たないでしょう。
年々、台風の威力が大きくなると予想されています。

家を持つことのリスクが上がりそうです。

 

■(1)今回の事例______________

「梁接合部の割れ」
_______________________

梁割れ

◆写真解説

接合部での梁の割れ。乾燥で木がねじれて割れた。
刻みを入れた加工部分は割れやすい。

 

◆内容説明

乾燥した材木を使っても組み立て後、さらに乾燥が進み
ボルトが緩んだり、割れが発生したりする。

接合部は、それぞれが違う動きをするため木が割れやすい。

もともと梁の接合部は、強度の弱点となるため、
金物で補強した上、影響が少ない箇所に設ける。

 

◆対策

このような現象を嫌う場合は
集成材と金物継ぎ手を利用する。

 

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■(2)編集後記

愛知県は交通死亡事故多発警報が発令されています。
それと関係があるのか、名古屋第二環状線などを走っていても
覆面パトカーかいつもより多い気がします。

愛知県は毎年交通死亡事故が全国NO1。
車の多さが原因の1つみたいです。

他の県を走る機会が多いですが、愛知県が特別
運転があらいなどということはありません。

やはり車の多さなどに比例して事故は起きるのでしょうか。

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