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事例971「鉄筋切断」
このところ現場に出過ぎで、休みなしで仕事をしても
書類などの仕事が減っていかない状況でした。
そのため今週、新築検査以外の現場予定を先延ばし又は、お断りをして
書類などの仕事を片付けました。
今後も定期的に仕事を片付ける週を設けるかもしれません。
■(1)今回の事例______________
「鉄筋切断」
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◆写真解説
鉄筋コンクリートの壁、設備開口付近で鉄筋切断が切断されている。
X線撮影で確認。
◆内容説明
設計図書に記載がない設備開口。
鉄筋切断を疑い、X線撮影したところ、予想どおり切断されていた。
鉄筋が切断されている箇所は構造的に重要な耐力壁。
◆対策
X線撮影は高価です。あとから全個所撮影することは難しい。
できるだけ工事中に検査をする。
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■(2)編集後記
建物のX線撮影は価格が高いです。
また、1箇所撮影するのに機材のセットで時間を取られるため
1日にMAX15枚くらいしか撮れません。
その上、撮影範囲が15CMほどと狭いため、撮影箇所は限定されます。
それでも内部の鉄筋、金物、電線などを確認できるため
ハードルが下がると普及が進むでしょう。
建築業界でX線が普及したら、手抜きが減るかもしれません。
また、耐震診断などの精度が上がるでしょう。
事例959「基礎底、洗堀り」
名古屋は梅雨があけて良い天気です。
今年は雨があまり降っていません。
水不足が心配です。
■(1)今回の事例______________
「基礎底、洗堀り」
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◆写真解説
ベタ基礎底、根入れがないため、土が流れている。
基礎の根入れはベタ基礎で120mm以上必要。
◆内容説明
根入れとは、基礎が地中に入る深さ。
ベタ基礎で120mm、布基礎で240mm以上必要(告示)。
根入れは告示の基準を守り、さらに以下の3点に留意する。
・良好な地盤に支持させる
・凍結深度以深とする
・周辺の掘削や雨水の洗掘りによる影響
寒冷地以外では凍結深度を考えなくてよいが
他の2点は重要です。
基礎は根入れが深いと、掘削量が増えて手間。また、残土も出ます。
掘削をせずに現状地盤の上に基礎を施工し、根入れがない工事中の現場を多く見かける。
写真は完成後も土を入れず、1年以上根入れがない状態。
◆対策
現場で高さについての説明を受ける。
高さの基準はどこで、そこから地盤は何センチ上がるか。
土は足りるか、足らないかなど
また、その説明が図面どおりか確認する。
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■(2)編集後記
自分の家の欠陥写真を、ブログで紹介して欲しいという問い合わせがありました。
載せる載せないの判断をこちらに任せて頂ければ構いません。
掲載に当たり、確認事項があるといけないため
こちらから連絡を入れて良い方に限ります。(匿名不可)
事例957「柱、梁の隙間」
今週は現場予定が少なかったため
私用、雑用の処理、打ち合わせを多くこなした週でした。
今日の午後は打ち合わせ等が3本。
夜まで予定を埋めています。
■(1)今回の事例______________
「柱、梁の隙間」
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◆写真解説
2階柱、小屋梁の隙間。ここ1本だけでなく全て空いている。
組み立て時の手抜き。鉛直荷重が柱に伝わらない。
◆内容説明
こんないい加減な仕事はプロの仕事ではない。
建築主が気の毒です。
躯体組み立て時、通常は梁を木のハンマーで叩きながら柱へ差し込む。
その作業を省略してしまったようだ。
屋根がガルバニウムで軽いため、屋根荷重でも下がらず
そのまま完成した。
このようなミスを想定していないため
隙間についての基準などはない。
柱、ほぞの断面は梁に接合していないため、荷重が伝わらない。
◆対策
構造検査時にチェックをする。
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■(2)編集後記
今朝は涼しいです。
ここまで涼しいとエアコンが無くても過ごせます。
ただし、夏場のこういった日を涼しく過ごすには
室内に入る日射を遮る事と、風通しが重要。
日射はあとからでもシェードなどで遮る事ができます。
風通しは、建ててからでは何ともなりません。
契約時にきちんと考えておくことが重要です。
事例956「耐震性不足」
月刊誌の原稿の締め切りが
夏休みの関係で今月は1週間早い。
事前に言われていましたが、
締め切り前日の昨日から原稿を書き出しました。
■(1)今回の事例______________
「耐震性不足」
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◆写真解説
構造耐力不適合。
構造に疑問を抱き、こちらで計算し直したら基準法に適合していなかった。
風で家が揺れ、壁に多くのひびが入っている。新築住宅。
◆内容説明
一般的な木造2階建ては、確認申請で構造のチェックを受けない。
つまり、検査機関が気づかなければ、構造が不適合でも確認申請は下りますし、
検査済証も発行される。
この家は、私が検査に入る前から、耐力不足を施主さんが指摘してきた。
業者は改ざんした計算書を出し、安全だと言い張った。
素人は騙せると思ったのでしょう。
◆対策
構造図、計算書を提出させ
内容に不審点がないか確認する。又は第三者にチェックを依頼する。
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■(2)編集後記
法律条文を理解できない工務店経営者、建築士が多い。
書類で法律条文のコピーをつけ、マーキングまでしてあげても理解ができない。
挙句の果て、自分の都合のよい方に解釈する。
建築の勉強だけしていると、読解力が鍛えられないかもしれません。
私も本をたくさん読むようになったのは30代から。
読むペースより買うペースのほうが早くて
読んでいない本が自宅の机の上に積み上げられています。
事例953「合板濡れ」
今日は移動距離が長かったのと
夜も打ち合わせを入れたため疲れました。
最近はハードに動いたあとでも体重が減りません。
1,2kg落とすのも大変です。
■(1)今回の事例______________
「合板濡れ」
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工事中に床合板が濡れた。
合板は乾きにくいため、数日経過しても含水率が70%もある。
乾くまでフローリングを貼れない。
◆内容説明
この時期に躯体を組むと濡れやすい。
最近の木造住宅は、1階床を先に組むケースが多いため
1階床が濡れやすい。
濡れたまま、フローリングを貼ると
接着剤が付かない、表面にカビが生えるなどの影響が出る。
◆対策
養生しても濡れることがある。
濡れた場合は、風を当てるなどして乾かす。
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■(2)編集後記
5,6月は瑕疵検査のほうが少し落ち着いていましたが
7月はすでに瑕疵検査の依頼がたくさん入っております。
また書類作成に追われそうです。
事例940「基礎天端仕上げ不良」
弁護士との打ち合わせまで時間があるため、
名古屋市中区の弁護士事務所近くで書いています。
(送信は夜ですが・・)
まわりは大勢の警察官。
近くのホテルに要人が泊まるみたいです。
■(1)今回の事例______________
「基礎天端仕上げ不良」
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◆写真解説
土台右側の角だけが基礎パッキンに接している。
原因を調べると、土台が反っているのではなく、
基礎天端が斜め。
◆内容説明
施工不良なのか、基礎幅150mmの端と端で
高さが数ミリ違っている。
基礎の天端は、流し込むだけで水平になる
「レベラー」という材料が多く使われている。
材料を信じ込み、確認しないと
このような不良も見逃してしまいます。
基礎へきちんと耐力を伝えるためには
土台の底がきちんとパッキンに接している必要がある。
◆対策
基礎完成時、基礎の天端を確認する。
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■(2)編集後記
裁判終了の報告を頂きました。
予想通りの良い結果です。
夕方、新たに裁判物件が1つ増えたため、
手持ちの数は変わりません。
裁判に付き合うのも大変です。
確実に恨みを買いますし、途中いろいろ苦労します。
また、費用面を考えますと、断って他の仕事をしていた方が良いです。
それでも、依頼を受ければ最後まで努力いたします。
事例938「梁の欠損」
雨漏りした家の外壁撤去作業を見てきました。
予想どおり、あるべきもの(防水テープ)が施工されていない。
完全な手抜きですが、施工した職人は
これでいいと思って施工したと思います。
瑕疵の大半は無知が原因です。
■(1)今回の事例______________
「梁の欠損」
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◆写真解説
2階床の写真。梁のど真ん中に配管の立ち上げがある。
大梁上部をかなり欠損している。
◆内容説明
梁の大きさ(高さ)は、下で支える柱間の距離や荷重。
または構造計算によって決める。
今回、大きな梁の中央部の上を、
配管を設置するため大きく切り欠いた。
政令には梁中央部の下は切り欠いてはいけないとある。
上部については記載されていないが、
大きな切り欠きは、構造の欠点になりやすい。
計算などで安全を確かめない限り、大きく切り欠いてはいけない。
◆対策
設備機器の配管位置を事前に確認。
できるだけ構造材に当たらないようにする。
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■(2)編集後記
6月3日(金)セミナーを行います。
内容は建築業者向けで、一般の方向けではありません。
また、申し込み条件は、読者限定だったと思います。
詳細は以下
http://kenplatz.nikkeibp.co.jp/atcl/books/14/505057/041500002/
今回は、時間も長くかなりの情報を出す予定です。
裁判、紛争を数多くサポート。そのため業者から恨みを買い、
過去に2回も暴力団を送り込まれたことがあります。
法律が厳しくなった現在では、スパムメールを大量に送りつけられる。
検査が原因で損をしたと不当な請求を起こされることも。
業者から恨まれ、敵対していそうな私ですが、
それは悪徳業者に対してのみ。
前向き、真面目に取り組んでいる方への協力は惜しみません。
欠陥住宅を減らすための内容を講演します。
耐震等級
昨年は4件ほど、耐震等級3で契約、設計したにも関わらず
瑕疵検査の結果、手抜きにより、耐震等級1も満たしていない家があった。
(耐震等級は3が最高。1が基準法レベル)
保険の検査などがあるはずなのに、未だに構造瑕疵が多い。
手抜きをするような業者は、簡単に非を認めないため、
このうちの2件はすでに裁判になっている。
熊本の地震で耐震等級2の家が倒壊したようです。
設計だけ耐震等級を取っていても意味がないです。
きちんと施工をさせて、その性能になります。
新しい家も倒壊・全壊
建築学会が昨日発表した熊本県益城町を対象にした調査の速報値。
2000年以降に建った住宅のうち、倒壊・全壊したものは10~17棟。
全体数が分からないが、町の規模からすると、かなりの確率になるかもしれない。
阪神淡路大震災後の2000年に木造住宅の構造に関する基準が強化されている。
この基準を守れば大地震が来ても倒壊・全壊まではしないと思われていたが
実際に大きな被害が出てしまった。
法改正から数年間は、現場への認知が低く、規定通りでない現場が多かった。
私の記憶では2010年ころまで構造金物が正しく施工されていない家が多かった。
倒壊・全壊の原因が欠陥によるものか、今後情報が出てくるであろう。
その結果によっては、構造の基準が厳しくなる可能性がある。
また、熊本県では耐震等級2の家も倒壊したようです。
これらの情報を入手し、今後のアドバイスなどに生かそうと思います。
事例937「基礎のクラック」
ここ数ヶ月続いた忙しさがひと段落しました。
それでも雑誌原稿の締め切りが迫るなど
やることはたくさんあります。
■(1)今回の事例______________
「基礎のクラック」
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◆写真解説
建物の基礎と擁壁が接合されている。
擁壁の動きでクラックが発生。本来は切り離す必要がある。
◆内容説明
建物基礎下には杭あり。擁壁下には杭がない。
施工時に一体でコンクリートを打設したため一体化。
擁壁が沈下で動き、ひび割れを起こした。
設計は切り離すようになっている。
現場判断で一体化させてしまった。
◆対策
現場監督が見落とさないように、設計図書の書き方を工夫する。
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■(2)編集後記
建築業界で働く知人の判断が原因で
住宅メーカーとトラブルになっているケースが多い。
ほとんどのケースは知人に悪意はない。
自分の経験で意見したことが、住宅メーカー側からするとずれている。
1つの会社で仕事を長くやっていると他所のことが分からない。
瑕疵の判断は難しい。無駄な争いを避けるため、
ハウスメーカー側の説明も聞くことが大切です。
有限会社カノム 名古屋市守山区小幡南三丁目20-28 シャトー小幡駅前 303
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