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住宅の構造計算ミス
過去に起きたマンション偽装事件。
構造計算の偽装を役所などが見抜けなかった。
現在は法が改正され、高さ20mを超える鉄筋コンクリート造の建築物など
一定規模以上の建築物については、構造計算適合性判定があり
間違いがないかチェックをされている。
それ以外、3階建て住宅などは今でも適合性判定がないため、
偽装や間違いが頻発している。
先月、瑕疵検査を実施した木造3階建て。
荷重設定のミスや構造計算書と構造図、現場の不整合が多いため、
依頼者に追加費用を頂き、再計算を行った。
結果は予想どおり、いろいろNGが出てきた。
このような例は珍しくない。2階建ての耐震等級の計算や
壁量計算などもよく間違っている。
確認申請でミスを見つけないため、
計算が間違っている住宅が多数存在していると思われる。
事例911「大引き貫通」
本日、ダブルブッキングをやってしまいました。
そのため、比較的余裕な1日だったはずが、
バタバタの1日になりました。
再発防止策を考えないといけません。
■(1)今回の事例______________
「大引き貫通」
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◆写真解説
1階床の荷重を支える鋼製大引き。
トイレの排水管が貫通し、ほぼ全面に及ぶ断面欠損。
補強措置などもない。
◆内容説明
配管は位置を大きく動かせない。
大引きの位置をずらしておくべきだった。
シロアリ対策のためか、鋼製の大引きを使用。
中は空洞なため、写真のように大きく切り欠かれると
耐力的に弱くなるのは確実。
1階床は、人や家具などの荷重しか支えないため
かなり重たいものをのせない限り、これでも持つ。
欠損させた場合は、補強をしておくべきである。
◆対策
配管位置を考慮し、大引き位置を図面で指示する。
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■(2)編集後記
長期金利がマイナスになったことで
住宅ローンの借り換え相談が増えているようです。
残債が多く、返済期間が長く残っている方は特に、
借りた金利を確認し、金利差に開きがあれば
借り換えの検討をお勧めします。
これから借りる方も含め、固定金利にするか、変動にするか
迷われると思います。
今後、金利がどう動くか分かりません。
人に聞くよりは、自分で決めるしかないと思います。
事例908「蒸発阻害」
書類作成に追われています。
これから始まる裁判がいくつかあり
裁判所へ出す書類を週明けまでに作成しないといけません。
どれも構造に問題がある物件ばかり、
大きな地震が来れば、倒壊する恐れがあるものもあります。
■(1)今回の事例______________
「蒸発阻害」
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◆写真解説
1階床の下地。雨に濡れたあと、十分乾く前に気流止めのビニールを
施工したため、水滴が付着。
ビニールを切って水分を蒸発させないと土台がカビる。
◆内容説明
暖房の効きが悪い家は、床下から空気が大量に
室内に入っているケースが多い。
それを防ぐため、基礎内に通気がある場合、1階の壁下で
気流を止める工事を行う。
今回の写真は、柱の隙間などを気密シートで覆ったもの。
1階床は早期に組まれることが多く、雨に濡れる確率が高い。
乾燥しないまま、気密工事を行ってしまうと
水分が蒸発せず、水蒸気がこもり、カビや木の腐朽の原因となる。
◆対策
躯体の雨養生をしっかり行う。
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■(2)編集後記
建築紛争に関わった経験が少ない人が、
無料相談員になっていることがある。
話し合いでの解決は頭にないのか
紛争にならないと利益にならないのか
いきなり紛争を進められるケースが多いようです。
仕上げ不良だけで1000万円は取れるなど
相談者の期待を上げるケースもある。
厳しい話を聞くのは嫌です。
どちらかと言えば、自分に有利な話を聞きたいものです。
厳しい話をする人の方が
きちんと考えて話をしてくれている可能性が高いです。
私のところに相談に来ても、厳しい話をさせていただきます。
いずれ結果が出ることですから、その場しのぎで
好かれる話だけをしても仕方ないです。
事例900「構造用合板未施工」
1月14日のブログで、完成検査の指摘率のことを書きました。
今週検査した現場は、どれも書いた内容どおりでした。
■(1)今回の事例______________
「構造用合板未施工」
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◆写真解説
石膏ボードの裏にあるはずの構造用合板が欠落している。
計10枚ほど未施工で、大幅な耐力減。
写真は石膏ボード裏の木や金属を調べる機械。
◆内容説明
筋交いにプラスして、構造用合板で耐力をとる壁を設けた家。
未施工部を減して計算をすると、基準法の基準を満たさない。
室内側の合板は、断熱材や電気配線のあと施工になるため
施工を忘れてしまうケースがある。
今回も未施工を疑い、センサーやスイッチをあけて合板の有無を確認した。
針を刺して確かめる方法もあるが、仕上げの種類によっては
刺した穴が目立つ理由で、使えないこともある。
◆対策
構造検査時は未施工の場合が多い。
箇所が多い場合は、それだけの確認で検査日を設定する。
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■(2)編集後記
書類作成や現地に伺っての相談依頼があり、費用の件を切り出すと
「えっ、お金かかるんですか」
そんなやり取りが今週だけで2件もあった。
費用については事前に説明しているが、
説明を覚えていないとしても、士業である専門家を動かせば
費用が掛かることくらい常識としてわかるでしょう。
住宅は契約前に、無料で見積もりやプランを行ってくれる会社が多い。
無料が普通と思ってしまうのでしょうか。
また、依頼する気が無いのに、何度も電話でアドバイスを求めて来る方が見えた。
3度目までは対応しましたが、4度目に叱りました。
きちんと正規に依頼を頂いている業務に時間を割くため、
複数回、無料で業務を求める方は排除させていただきます。
(初回で少々の相談ごとでしたら電話などの対応はいたします。)
事例899「基礎、異物混入」
今日は弁護士との打ち合わせなどで
帰りが遅くなりそうです。
久しぶりに午前中の投稿です。
■(1)今回の事例______________
「基礎、異物混入」
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◆写真解説
ベタ基礎立ち上がりの下、打継部に金物が混入。
金物ではなく木片などが混入することもある。
◆内容説明
型枠作業時に金物が型枠内に落ちて
そのままコンクリートを打ってしまった。
写真は床下に潜って撮影したもの。
工事中に基礎屋、監督が気づいていない。
今回、薄い金物であることから、強度的な影響はないと思われる。
ただし、コンクリートを打つ前にきちんと打継面の確認を
していない証拠で、管理ミスを責めれれる場合がある。
ハウスメーカー時代、基礎屋が型枠内に拳ほどの大きさの石を入れたのを
施主さんが見ていて、あとから基礎を壊したことがある。
◆対策
打継面に落ち葉がたくさん落ちていたり、
木片やごみなどが落ちていることもある。
打設前に型枠内を確認する。
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■(2)編集後記
最近、完成1回だけの検査依頼が増えています。
指摘が出る傾向として
・大手の会社(地元での大手含め)は軽微な指摘か、うっかりミス、
図面ミスなど。
・名前をあまり聞いたことがない会社は、重大な違反含め
数多く指摘が出ることが多い。
大手は仕様のパターンを決め、基準を調べ図面化している。
規格を外れなければ、ミスは起きにくい。
小さな会社は、設計や施工を丸投げか、任せっきりにして
しまうため、ミスが起きやすい。
あくまで弊社の統計なので、
小さくてもきちんとしている会社は数多くある。
事例898「現場での木の吸水」
昨年秋から、新築検査の手持ち数がかなり増え
スケジュール管理が大変でした。
年明けは完成する物件が多く、
数も普通の状態に戻りつつあります。
今週だけで計6件の現場が終わります。
■(1)今回の事例______________
「現場での木の吸水」
_______________________
◆写真解説
ベタ基礎内の水たまりに土台を直接置いている。
木が水を吸い、乾燥材で無くなってしまう。
◆内容説明
作業を早く終わらせるため、基礎の内に溜まった水も抜かず
土台敷きをスタート。
この状態を注意すると、大工は何が悪いのという顔をしていた。
そんなことも分からないで、よく大工をやっていると思う。
木の乾燥が悪いと反りや収縮が起きる。
また、部位によってはカビが生えることもある。
しっかり乾燥させて出荷された材木。
運搬中、現場搬入後、養生をして
濡らさないようにしていたことが台無しです。
◆対策
気を付けていて、濡れてしまう場合は仕方がない。
養生のチェックを行う。
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■(2)編集後記
病院や歯医者などに行き、痛い治療を行う前は
非常に緊張しますし、不安にもなります。
緊張や不安は医者を信用していない証拠。
あの先生に任せておけば大丈夫だという思いを持てば
不安は軽減されます。
過去、レーシックの手術なども受けましたが
医者を信頼することで不安なく手術に臨めました。
建築紛争でも、弁護士を信じて任せることが大事です。
欠陥住宅をつかんだ事実を知ってしまうと、
不安などから精神的に平常ではいられなくなる。
そんな時は詐欺に引っかかりやすい。
自分に都合の良い話であれば、それが誇大であるか判断が付かない。
弁護士の意見を聞かず、別のうまい話を信用し、そこに大金を払ったが、
話どうりに事は進まず、お金と時間を損したという例もあります。
事例890「基礎パッキンのずれ」
今日は1つの現場で5時間、休憩なしで検査。
瑕疵検査でも午後からはだいたい5時間くらい
休憩なしで検査しています。
これだけ長時間集中していると、
夜、あまり仕事がはかどりません。
■(1)今回の事例______________
「基礎パッキンのずれ」
_______________________
◆写真解説
基礎パッキンのずれ。土台から大きく外れている。
全体的に雑で、他にも何か所か外れている。
◆内容説明
連続タイプの基礎パッキン、土台固定時にずれ、
そのままアンカーボルトのナットを締め付け固定。
この状態を大工が気づかない訳がない。
どうせ床下で分からないと思い、そのままにしたと思われる。
連続タイプの基礎パッキンを真っすぐ通すには
丁寧に施工する必要がある。
今から修理するには、横から叩いて入れる。
入らない場合は、少し削るなどしないといけない。
◆対策
木躯体の荷重を基礎へ伝える重要な構造材。
見えなくなる前にずれをチェックする。
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■(2)編集後記
双方が弁護士を入れて話し合いをしている欠陥住宅の事件がある。
全部ではないが、業者が非を認めているため、弁護士は
裁判を行うよりは、ここで和解したほうが得であると勧めている。
しかし、依頼者は裁判所は消費者の味方と信じ込み、
裁判をやって、建て替えを認めてもらうつもりでいる。
この件で裁判所が建て替えを認める確率は0%。
裁判を行えば、現在の和解額より下がる可能性が高い。
被害者なのに、なぜ妥協しないといけないかという気持ちは分かります。
ただ、現実は非常に厳しいです。そんなときにうまい話があると
引っかかりやすいので気を付けないといけません。
うまい話をする弁護士は金儲けが一番の目的だったりする。
裁判前にタイムチャージの契約をし、百万円近く払ったのに
話が進展していないというケースもある。
また着手金を上げるために、請求額のつり上げを指示する人もいた。
事例886「耐震スリット欠落」
1年で最も日が短い時期です。
今日は午後から曇ってきたため、4時半くらいで暗かったです。
15時すぎ入った現場は、
暗くなっても内部はライトを照らし検査できるので
外部から検査しました。
■(1)今回の事例______________
「耐震スリット欠落」
_______________________
◆写真解説
図面で指示された箇所に耐震スリットが入っていない。
構造図面を照合し未施工を確認。
◆内容説明
鉄筋コンクリート造のマンション。
大地震時に壁が梁・柱を破壊しないよう、
スリットにて縁を切る設計。
目地がないのでスリットが入っていないのは明らか。
図面に記載がされているが、施工時に入れ忘れたと思われる。
ここ最近、施工忘れは減っている。
数年前のマンションでは、入れ忘れている確率が高い。
◆対策
構造図を照合し、スリットの有無を確認。
タイル目地などと区別が難しい時はX線撮影などで確認。
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■(2)編集後記
有名な大手メーカーの家。
今日見た床下断熱材の施工はかなり杜撰。
たまたまなのか、他もそうなのかは
あと数件見ないと分からない。
また、省エネをうたっているが、省エネは書類上だけで
実際はカタログに書いてあるほどの性能はなさそう。
いくら大手だとはいえ、床下くらいは点検することをお勧めします。
事例875「屋根梁緊結不良」
このところ裁判の問い合わせが多い。
裁判所は消費者を勝たしてくれると思っている方が多い。
そうであれば、業者は謝っているはずです。
■(1)今回の事例______________
「屋根梁緊結不良」
_______________________
◆写真解説
2×4の屋根梁接合部。
束の上に載っているだけ。
緊結不良で危険な状態。
◆内容説明
屋根を受ける梁。
そのジョイントがきちんと接合されていない。
大きな力がかかれば、束から外れ、
屋根が崩壊する可能性がある。
本来、金物などを使い緊結する。
◆対策
構造検査時にチェックする。
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■(2)編集後記
ある欠陥現象の確認に行ってきました。
結構ひどい状況で、
そこのメーカーはきちんと対応すると言っている。
偶然ですが、現場へ向かう途中
同じ欠陥現象の電話相談を受けた。
その会社は修理する意思がない。
同じ欠陥症状であっても、会社により対応はいろいろ。
ちなみに後者は大手。
大手だから安心だとは一概に言えない。
事例874「腐った柱」
慌ただしい1日でした。
それでも予定通り仕事が終わり、
少し気が楽になりました。
■(1)今回の事例______________
「腐った柱」
_______________________
◆写真解説
一部が腐って軟らかい柱。不良材料が混じった。
新築の工事中検査で発見。
◆内容説明
表面が腐朽し、軟らかくなった柱が数本納入された。
含水率を測ると一部は20%を超えている。
また、表面にカビが生えているものもあった。
乾燥材として納入されているはずの材料。
プレカット工場での検査がいい加減である。
新築でこの柱を使われ、怒らない施主はいないでしょう。
建築基準法に抵触する可能性もある。
建築基準法施行令第41条
構造耐力上主要な部分に使用する木材の品質は、節、腐れ、繊維の傾斜、
丸身等による耐力上の欠点がないものでなければならない。
◆対策
現場で検品をし、不良品は交換させる。
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■(2)編集後記
今日新築検査に行った現場はひどかった。
瑕疵保険や社内検査のあとであるにも関わらず
施工ミス、未施工がたくさん。
現場は汚く、慌てて仕事をしている感じを受けました。
横浜のマンション傾斜事件同様、工期、コストが優先されると
品質がいい加減になる。
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