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事例923「基礎鉄筋切断」
このところ昼間は現場に出っぱなしで
メールなどで送られてくる資料の確認が追いつきません。
仕事の優先順位があるため
後回しになる場合があることをご了解ください。
■(1)今回の事例______________
「基礎鉄筋切断」
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◆写真解説
基礎にあとから穴をあけたとき、鉄筋を2本切断してしまった。
鉄筋の位置は非破壊で調べること可能。
◆内容説明
コンクリートに穴をあける機械は
設備屋さんならほとんどの人が持っている。
ただし、鉄筋の位置を測る機械はほとんど持っていない。
そのため、鉄筋の位置を気にすることなく
穴あけされるケースが多い。
横浜のマンションでこの穴あけが問題になり
建て替えが決定しました。
住宅の基礎でもあとからの穴あけは珍しくないです。
写真の現場、なぜあとから基礎の穴をあけたのか?
驚きの理由を次回紹介します。
◆対策
工事開始後の設備の変更を避ける。
設備配管の位置を基礎図に反映させ、
コンクリートを打設する前にスリーブを入れる。
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■(2)編集後記
最近、大東建託の現場がやけに目につきます。
それだけアパートが建っているのでしょう。
よく本に、家は買うなと書いてある。
金銭の損得を考えればそうかもしれませんが、
借家は部屋が少ない、狭い、収納が少ないなど
条件が合うものがなかなかないため、
家を買おうという人も多いと思う。
過去、ハウスメーカーにいる時
何百件もの借家を建てました。
その中で4LDKは1件あったかどうかくらいで
ほとんどが1Kか2LDKくらい。3LDKもほとんどなかった。
広くなると家賃が上がり、借り手が少ない。
無難な2LDKくらいが増え続けます。
住宅の構造計算ミス
過去に起きたマンション偽装事件。
構造計算の偽装を役所などが見抜けなかった。
現在は法が改正され、高さ20mを超える鉄筋コンクリート造の建築物など
一定規模以上の建築物については、構造計算適合性判定があり
間違いがないかチェックをされている。
それ以外、3階建て住宅などは今でも適合性判定がないため、
偽装や間違いが頻発している。
先月、瑕疵検査を実施した木造3階建て。
荷重設定のミスや構造計算書と構造図、現場の不整合が多いため、
依頼者に追加費用を頂き、再計算を行った。
結果は予想どおり、いろいろNGが出てきた。
このような例は珍しくない。2階建ての耐震等級の計算や
壁量計算などもよく間違っている。
確認申請でミスを見つけないため、
計算が間違っている住宅が多数存在していると思われる。
事例911「大引き貫通」
本日、ダブルブッキングをやってしまいました。
そのため、比較的余裕な1日だったはずが、
バタバタの1日になりました。
再発防止策を考えないといけません。
■(1)今回の事例______________
「大引き貫通」
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◆写真解説
1階床の荷重を支える鋼製大引き。
トイレの排水管が貫通し、ほぼ全面に及ぶ断面欠損。
補強措置などもない。
◆内容説明
配管は位置を大きく動かせない。
大引きの位置をずらしておくべきだった。
シロアリ対策のためか、鋼製の大引きを使用。
中は空洞なため、写真のように大きく切り欠かれると
耐力的に弱くなるのは確実。
1階床は、人や家具などの荷重しか支えないため
かなり重たいものをのせない限り、これでも持つ。
欠損させた場合は、補強をしておくべきである。
◆対策
配管位置を考慮し、大引き位置を図面で指示する。
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■(2)編集後記
長期金利がマイナスになったことで
住宅ローンの借り換え相談が増えているようです。
残債が多く、返済期間が長く残っている方は特に、
借りた金利を確認し、金利差に開きがあれば
借り換えの検討をお勧めします。
これから借りる方も含め、固定金利にするか、変動にするか
迷われると思います。
今後、金利がどう動くか分かりません。
人に聞くよりは、自分で決めるしかないと思います。
事例908「蒸発阻害」
書類作成に追われています。
これから始まる裁判がいくつかあり
裁判所へ出す書類を週明けまでに作成しないといけません。
どれも構造に問題がある物件ばかり、
大きな地震が来れば、倒壊する恐れがあるものもあります。
■(1)今回の事例______________
「蒸発阻害」
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◆写真解説
1階床の下地。雨に濡れたあと、十分乾く前に気流止めのビニールを
施工したため、水滴が付着。
ビニールを切って水分を蒸発させないと土台がカビる。
◆内容説明
暖房の効きが悪い家は、床下から空気が大量に
室内に入っているケースが多い。
それを防ぐため、基礎内に通気がある場合、1階の壁下で
気流を止める工事を行う。
今回の写真は、柱の隙間などを気密シートで覆ったもの。
1階床は早期に組まれることが多く、雨に濡れる確率が高い。
乾燥しないまま、気密工事を行ってしまうと
水分が蒸発せず、水蒸気がこもり、カビや木の腐朽の原因となる。
◆対策
躯体の雨養生をしっかり行う。
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■(2)編集後記
建築紛争に関わった経験が少ない人が、
無料相談員になっていることがある。
話し合いでの解決は頭にないのか
紛争にならないと利益にならないのか
いきなり紛争を進められるケースが多いようです。
仕上げ不良だけで1000万円は取れるなど
相談者の期待を上げるケースもある。
厳しい話を聞くのは嫌です。
どちらかと言えば、自分に有利な話を聞きたいものです。
厳しい話をする人の方が
きちんと考えて話をしてくれている可能性が高いです。
私のところに相談に来ても、厳しい話をさせていただきます。
いずれ結果が出ることですから、その場しのぎで
好かれる話だけをしても仕方ないです。
事例900「構造用合板未施工」
1月14日のブログで、完成検査の指摘率のことを書きました。
今週検査した現場は、どれも書いた内容どおりでした。
■(1)今回の事例______________
「構造用合板未施工」
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◆写真解説
石膏ボードの裏にあるはずの構造用合板が欠落している。
計10枚ほど未施工で、大幅な耐力減。
写真は石膏ボード裏の木や金属を調べる機械。
◆内容説明
筋交いにプラスして、構造用合板で耐力をとる壁を設けた家。
未施工部を減して計算をすると、基準法の基準を満たさない。
室内側の合板は、断熱材や電気配線のあと施工になるため
施工を忘れてしまうケースがある。
今回も未施工を疑い、センサーやスイッチをあけて合板の有無を確認した。
針を刺して確かめる方法もあるが、仕上げの種類によっては
刺した穴が目立つ理由で、使えないこともある。
◆対策
構造検査時は未施工の場合が多い。
箇所が多い場合は、それだけの確認で検査日を設定する。
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■(2)編集後記
書類作成や現地に伺っての相談依頼があり、費用の件を切り出すと
「えっ、お金かかるんですか」
そんなやり取りが今週だけで2件もあった。
費用については事前に説明しているが、
説明を覚えていないとしても、士業である専門家を動かせば
費用が掛かることくらい常識としてわかるでしょう。
住宅は契約前に、無料で見積もりやプランを行ってくれる会社が多い。
無料が普通と思ってしまうのでしょうか。
また、依頼する気が無いのに、何度も電話でアドバイスを求めて来る方が見えた。
3度目までは対応しましたが、4度目に叱りました。
きちんと正規に依頼を頂いている業務に時間を割くため、
複数回、無料で業務を求める方は排除させていただきます。
(初回で少々の相談ごとでしたら電話などの対応はいたします。)
事例899「基礎、異物混入」
今日は弁護士との打ち合わせなどで
帰りが遅くなりそうです。
久しぶりに午前中の投稿です。
■(1)今回の事例______________
「基礎、異物混入」
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◆写真解説
ベタ基礎立ち上がりの下、打継部に金物が混入。
金物ではなく木片などが混入することもある。
◆内容説明
型枠作業時に金物が型枠内に落ちて
そのままコンクリートを打ってしまった。
写真は床下に潜って撮影したもの。
工事中に基礎屋、監督が気づいていない。
今回、薄い金物であることから、強度的な影響はないと思われる。
ただし、コンクリートを打つ前にきちんと打継面の確認を
していない証拠で、管理ミスを責めれれる場合がある。
ハウスメーカー時代、基礎屋が型枠内に拳ほどの大きさの石を入れたのを
施主さんが見ていて、あとから基礎を壊したことがある。
◆対策
打継面に落ち葉がたくさん落ちていたり、
木片やごみなどが落ちていることもある。
打設前に型枠内を確認する。
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■(2)編集後記
最近、完成1回だけの検査依頼が増えています。
指摘が出る傾向として
・大手の会社(地元での大手含め)は軽微な指摘か、うっかりミス、
図面ミスなど。
・名前をあまり聞いたことがない会社は、重大な違反含め
数多く指摘が出ることが多い。
大手は仕様のパターンを決め、基準を調べ図面化している。
規格を外れなければ、ミスは起きにくい。
小さな会社は、設計や施工を丸投げか、任せっきりにして
しまうため、ミスが起きやすい。
あくまで弊社の統計なので、
小さくてもきちんとしている会社は数多くある。
事例898「現場での木の吸水」
昨年秋から、新築検査の手持ち数がかなり増え
スケジュール管理が大変でした。
年明けは完成する物件が多く、
数も普通の状態に戻りつつあります。
今週だけで計6件の現場が終わります。
■(1)今回の事例______________
「現場での木の吸水」
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◆写真解説
ベタ基礎内の水たまりに土台を直接置いている。
木が水を吸い、乾燥材で無くなってしまう。
◆内容説明
作業を早く終わらせるため、基礎の内に溜まった水も抜かず
土台敷きをスタート。
この状態を注意すると、大工は何が悪いのという顔をしていた。
そんなことも分からないで、よく大工をやっていると思う。
木の乾燥が悪いと反りや収縮が起きる。
また、部位によってはカビが生えることもある。
しっかり乾燥させて出荷された材木。
運搬中、現場搬入後、養生をして
濡らさないようにしていたことが台無しです。
◆対策
気を付けていて、濡れてしまう場合は仕方がない。
養生のチェックを行う。
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■(2)編集後記
病院や歯医者などに行き、痛い治療を行う前は
非常に緊張しますし、不安にもなります。
緊張や不安は医者を信用していない証拠。
あの先生に任せておけば大丈夫だという思いを持てば
不安は軽減されます。
過去、レーシックの手術なども受けましたが
医者を信頼することで不安なく手術に臨めました。
建築紛争でも、弁護士を信じて任せることが大事です。
欠陥住宅をつかんだ事実を知ってしまうと、
不安などから精神的に平常ではいられなくなる。
そんな時は詐欺に引っかかりやすい。
自分に都合の良い話であれば、それが誇大であるか判断が付かない。
弁護士の意見を聞かず、別のうまい話を信用し、そこに大金を払ったが、
話どうりに事は進まず、お金と時間を損したという例もあります。
事例890「基礎パッキンのずれ」
今日は1つの現場で5時間、休憩なしで検査。
瑕疵検査でも午後からはだいたい5時間くらい
休憩なしで検査しています。
これだけ長時間集中していると、
夜、あまり仕事がはかどりません。
■(1)今回の事例______________
「基礎パッキンのずれ」
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◆写真解説
基礎パッキンのずれ。土台から大きく外れている。
全体的に雑で、他にも何か所か外れている。
◆内容説明
連続タイプの基礎パッキン、土台固定時にずれ、
そのままアンカーボルトのナットを締め付け固定。
この状態を大工が気づかない訳がない。
どうせ床下で分からないと思い、そのままにしたと思われる。
連続タイプの基礎パッキンを真っすぐ通すには
丁寧に施工する必要がある。
今から修理するには、横から叩いて入れる。
入らない場合は、少し削るなどしないといけない。
◆対策
木躯体の荷重を基礎へ伝える重要な構造材。
見えなくなる前にずれをチェックする。
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■(2)編集後記
双方が弁護士を入れて話し合いをしている欠陥住宅の事件がある。
全部ではないが、業者が非を認めているため、弁護士は
裁判を行うよりは、ここで和解したほうが得であると勧めている。
しかし、依頼者は裁判所は消費者の味方と信じ込み、
裁判をやって、建て替えを認めてもらうつもりでいる。
この件で裁判所が建て替えを認める確率は0%。
裁判を行えば、現在の和解額より下がる可能性が高い。
被害者なのに、なぜ妥協しないといけないかという気持ちは分かります。
ただ、現実は非常に厳しいです。そんなときにうまい話があると
引っかかりやすいので気を付けないといけません。
うまい話をする弁護士は金儲けが一番の目的だったりする。
裁判前にタイムチャージの契約をし、百万円近く払ったのに
話が進展していないというケースもある。
また着手金を上げるために、請求額のつり上げを指示する人もいた。
事例886「耐震スリット欠落」
1年で最も日が短い時期です。
今日は午後から曇ってきたため、4時半くらいで暗かったです。
15時すぎ入った現場は、
暗くなっても内部はライトを照らし検査できるので
外部から検査しました。
■(1)今回の事例______________
「耐震スリット欠落」
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◆写真解説
図面で指示された箇所に耐震スリットが入っていない。
構造図面を照合し未施工を確認。
◆内容説明
鉄筋コンクリート造のマンション。
大地震時に壁が梁・柱を破壊しないよう、
スリットにて縁を切る設計。
目地がないのでスリットが入っていないのは明らか。
図面に記載がされているが、施工時に入れ忘れたと思われる。
ここ最近、施工忘れは減っている。
数年前のマンションでは、入れ忘れている確率が高い。
◆対策
構造図を照合し、スリットの有無を確認。
タイル目地などと区別が難しい時はX線撮影などで確認。
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■(2)編集後記
有名な大手メーカーの家。
今日見た床下断熱材の施工はかなり杜撰。
たまたまなのか、他もそうなのかは
あと数件見ないと分からない。
また、省エネをうたっているが、省エネは書類上だけで
実際はカタログに書いてあるほどの性能はなさそう。
いくら大手だとはいえ、床下くらいは点検することをお勧めします。
事例875「屋根梁緊結不良」
このところ裁判の問い合わせが多い。
裁判所は消費者を勝たしてくれると思っている方が多い。
そうであれば、業者は謝っているはずです。
■(1)今回の事例______________
「屋根梁緊結不良」
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◆写真解説
2×4の屋根梁接合部。
束の上に載っているだけ。
緊結不良で危険な状態。
◆内容説明
屋根を受ける梁。
そのジョイントがきちんと接合されていない。
大きな力がかかれば、束から外れ、
屋根が崩壊する可能性がある。
本来、金物などを使い緊結する。
◆対策
構造検査時にチェックする。
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■(2)編集後記
ある欠陥現象の確認に行ってきました。
結構ひどい状況で、
そこのメーカーはきちんと対応すると言っている。
偶然ですが、現場へ向かう途中
同じ欠陥現象の電話相談を受けた。
その会社は修理する意思がない。
同じ欠陥症状であっても、会社により対応はいろいろ。
ちなみに後者は大手。
大手だから安心だとは一概に言えない。
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