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断熱材が薄い省エネ住宅

新築検査の図面チェックをしていて、おかしな点に気づいた。
長期優良住宅を選択しているのに、断熱材が薄い。
10年くらい前の一般的な建売住宅の断熱仕様になっている。

基準自体が変わってきていて、計算によって算出する性能規定を選択すれば
仕様規定より断熱材を薄くできる。今回は床と天井が半減されていた。

構造においては、仕様規定を守り、そのうえで構造計算を行うのが基本。
省エネの場合も最低、仕様規定を守るべきだと思う。

断熱材はあとあと改修工事が難しいため、住んでから熱い寒いと感じても手遅れである。
コストダウンにはなるが、断熱材を半減させれば体感的に大きな差が出る。

断熱材の厚さなどについて、建て主も勉強をして、意見を言うべきです。

 

事例981「壁内の水」

夕方、名古屋でも強い風が吹きました。

天気予報を見ると、週末はまた雨。
梅雨に雨があまり降らず、9月10月に雨が多い。

今回紹介する事例は、雨の多い時期によくある事例です。

 

■(1)今回の事例______________

「壁内の水」
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断熱材濡れ断熱材濡れ

◆写真解説

雨の中、躯体を組み立て。
壁内を確認すると大量の水が出てきた。断熱材も濡れている。

 

◆内容説明

工業化住宅の多くは工場で断熱材を入れる。
中には石膏ボードまで張ってくる会社もある。

部材は防水ではないため、組み立て中、雨に濡れれば
壁内の断熱材が濡れやすい。

壁内のビニールで覆われたグラスウールが濡れると、なかなか乾かない。

壁内の断熱材は目視できないので、濡れていても分からない。
現場監督の「大丈夫です」という発言を信用し
そのまま完成している現場は多いと思う。

工業化住宅の欠点です。

 

◆対策

組み立て中、雨に濡れた場合は、壁内を確認する。

 

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■(2)編集後記

先週は列車移動や大きな建物の検査で、たくさん歩いたため
体の痛み、疲れをかなり感じました。
気温の変化も大きく、風邪気味でもありました。

週初めから書類などの提出に追われましたが、
できるだけ、体のリハビリに心がけました。

足の痛みなども取れたため、明日から週末にかけて
ハードスケジュールをこなせそうです。

事例979「ユニットバス気流止め未施工」

昨日の夜、パソコンを再起動したら
ウインドウズ10のアップデートが始まった。
すぐに終わると思ったら完了までに2時間くらいかかりました。

他に書類を読むくらいしかやることがなく
予定が大幅に狂いました。

 

■(1)今回の事例______________

「ユニットバス気流止め未施工」
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ユニットバス気流止め

◆写真解説

床下から見上げたユニットバスの壁際。
床下の空気が壁との隙間から室内へ入るのを防ぐ「気流止め」が未施工。

 

◆内容説明

床下に換気がある場合、外気がユニットバスの周囲から室内に入る。
気密性能が悪くなる要因で断熱欠損も大きく、風呂や室内が寒い原因となる。

長期優良住宅などでは、ユニットバスの下を断熱した上、
床下の空気が室内へ入らないよう、ユニットバスの周囲に気流止めを
設ける必要がある。(基礎断熱にした場合、気流止めは不要)

 

◆対策

施工中か完成時に床下からチェックする。

 

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■(2)編集後記

今日は1日、マンションの現場に居ました。

そこで15CMくらいのムカデに遭遇。
住人の方が殺虫剤を噴射しましたが、全然弱らない。

つぎに金ばさみで、首をつぶしましたが、
それでもなかなか弱らない。

最後は熱湯をかけてようやく始末できました。

その前にはスズメバチもいましたし、
危険を感じながらの検査でした。

外壁の温度

いろんな締め切りに追われて、気が重い毎日。
明日締め切りの原稿を完成させたので、少し楽になりました。

 

日が当たる外壁の温度。

写真真ん中から左は白色の外壁(約32度)。右は茶色の外壁(約37度)。
温度は5℃ほど違います。

外壁温度

真夏、黒色になると白色との差が10℃になることもあります。

色によっては、外壁の温度が高温になるため
内部に遮熱シートなどを使うとよいでしょう。

 

事例970「気流止め未施工」

台風10号が東北地方に被害をもたらしそうです。

名古屋はほとんど影響がありませんでした。
大きな被害が出ないとよいですが。

 

■(1)今回の事例______________

「気流止め未施工」
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気流止め
◆写真解説

2階間仕切り壁上、気流止め未施工。
気流止めがないと部屋の空気がここから屋根裏へ抜け省エネ性能が落ちる。

 

◆内容説明

現場での気流止めの認識はかなり低い。
過去に建てられた家ほど、未施工である確率が高い。

屋根裏に接する最上階の壁上、基礎に接する1階壁下などで
本来施工が必要。(屋根断熱、剛床の場合は不要)

「気流止め」言葉のとおり、気流を止めるもの
断熱材がしっかり入っているのに家が寒い場合などは
気流の対策をしていないケースが考えられます。

 

◆対策

気流止めの施工については、
断熱材メーカーの施工マニュアルが分かりやすい。

施工業者にこの通りに施工してくださいと手渡すとよいです。

フラット35、長期優良住宅などの仕様を選択していない場合、
基準にないと逃げられるケースがあります。

 

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■(2)編集後記

雨の日にコンクリートを打った。
雨の日に躯体を組み立て、断熱材が濡れた。
この夏もこの2点の相談を多く受けました。

台風の最中に建て方を行った大手メーカーが過去にありました。
当然ですが、基礎を残し解体させました。

なぜ雨なのにストップしないか。

それは会社の方針で工程をずらせないためです。
着手日を入力すると工事完成日までが自動で決まる。
工程をずらすとぺナルティーが課せられるなど、
融通が利かないシステムができているからです。

これは建て主のことを無視したやり方。
早く完成させることで、経費を押さえ、早く資金回収することが目的でしょう。

こういった自分勝手な会社は、建て主のことをきちんと考えない。
契約時に工程があまりにもシビアだと感じたら契約を避けた方が良いと思う。

夏が終わりこれからは冬に向かいます。
氷点下なのにコンクリートを打ったという事例が出てきます。
(コンクリートが凍り、強度が出ない)

事例969「ガラスの向き」

夏休み明けから毎日猛暑の中、スケジュールがぎっしり。
現場から帰ると、夜は疲れて仕事をする気力が起きませんでした。

そこで毎朝、早出を実行。
早起きするので夜になると早く眠くなります。
このまま朝型にかえても良いかもしれません。

週末、欠陥検査の予定などありますが、平常に戻りつつあります。

 

■(1)今回の事例______________

「ガラスの向き」
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LOW-E
◆写真解説

LOW-Eガラス等の表示が屋外側にある
=ガラスが内外反対に取りついている。

金属膜の位置が違うと性能に影響が出る。
室内側に表示があるのが正しい。

 

◆内容説明

写真は室内側から撮影。
ガラス表示が1箇所だけ外側についていた。

つまり、内外反対に組み立てている。
向きを間違えても組み立てに支障がないため、チェックしないと気づかない。

LOW-Eガラスは向きを間違うと
設計性能が変わってしまう。
直すには枠をばらして、組み立て直しが必要。

LOW-Eの金属膜位置は目視ではわからない。
刻印以外の確認方法としてライトを当てる方法もある。
金属膜のありなしで反射する色が変わる。(判断が難しい場合があり、プロ向きです)

まさか間違うはずがないと思う箇所。
弊社の検査項目にもありませんでした。
たまたま見つけたので、今後はチェックしようと思います。

 

◆対策

ガラス表示位置をチェックする。

 

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■(2)編集後記

離職率の高い業界であるにもかかわらず、
ある会社は社員の離職率が非常に低い。
その理由は社長の人への接し方がうまい。

この社長にかかれば、社員だけでなく、業者、職人、弁護士でも
やる気スイッチが入ってしまいます。
私もスイッチを入れられてしまいました。

家造りは、関わる人のやる気を出させることも必要です。

何をすればよいか?いくつかありますが以下の2点が重要です。

・信頼していることを態度で示す。
(重要なポイントだけ伝え、あとはできるだけ任せて、時々チェックを入れる)

・仕事がやりやすいように協力する(即決する、仕事の邪魔をしない)など。

お金を払う立場であっても、相手に好かれる態度を取ることは重要です。
その結果、自分に有利な状況が生まれます。

事例968「断熱性能が悪い家」

休み明けでスケジュールがしばらくぎっしり。

ミスが出ないように気持ちだけはゆとりを持ちたいです。

 

■(1)今回の事例______________

「断熱性能が悪い家」
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エアコン効かない
◆写真解説

大手メーカーの省エネ新築住宅。
夏はエアコンが設定温度まで下がらない。冬の朝は室温が6℃。

 

◆内容説明

ここともう1社のプレハブメーカー。
標準仕様で現行の省エネ基準をクリアしているのに
冬寒い、夏暑いという苦情が数多く出ている。

原因は仕様規定や計算だけで基準をクリアさせているためです。
隙間だらけでも、天井の断熱材が薄くても通ってしまう。

実際の性能を確かめずに「快適」、「夏暑い」、「冬暖かい」
などと宣伝してはいけないと思う。

 

◆対策

プレハブの家に高断熱性を期待しない。

 

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■(2)編集後記

紛争の話し合いの場に立ち合い。

建築主と業者の言い争いが激しくなってきた時、
間に割って入り、止めようかと思いましたが、
現場監督の言い訳が面白くて、しばらく聞いていました。

「マニュアルどおりです」
「うちの標準施工です」

一般的におかしな施工が、当たり前に行われていると
認めてしまっています。

こちらに悪意があれば、いくらでもあげ足を取れます。

事例948「グラスウールの施工不備」

知らない人から
昨日TVに出てました?と声を掛けられました。

「そうです」と返事をしたら、
「大変な仕事ですね。頑張ってください」と言われた。

うれしいお言葉です。

 

■(1)今回の事例______________

「グラスウールの施工不備」
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グラスウール

◆写真解説

グラスウールの施工不備。
壁内に押し込こみ、防湿材の留めつけも悪い。
基本を無視した施工。

 

◆内容説明

狭い箇所への施工は、袋入りになっているGWの中身を出して充填。
室内側は防湿材を施工する。

これらの作業が面倒なのか、袋入りのまま小さく切ったものを
押し込んでいる。

防湿材をきちんと施工しないと壁内結露の懸念がある。

 

◆対策

石こうボードを貼る前に、断熱材の施工状況をチェックする。

 

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■(2)編集後記

裁判相手の業者のデータを整理すると
圧倒的に小規模の業者が多い。

おおよその目安として、年間20棟以内。社員10人以下。

やはり、原因は無知であり。
修理するだけのお金がないため責任が取れない。

ただし、小規模の業者が皆悪いというわけではない。
きちんと責任を取る業者もいる。

また、大手でも安心できない。
一部の大手は、責任を取らない。

最近、いろいろな会社を見ていて思うことは、
評判を大事にして、成長を続けようとしている地元の会社は、
お客さんを大事にしている。

だから、人気があるし、成長していると思う。

事例944「防湿材施工不備」

梅雨入りして、コンクリート打ちや
上棟の日程に気を使うシーズンになりました。

施主さん、監督さんの気苦労が増える時期です。

 

■(1)今回の事例______________

「防湿材施工不備」
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防湿材

◆写真解説

24H換気、吸気孔の開口。
グラスウールの防湿材カット部にテープが未施工。
室内の水蒸気が壁内へ侵入する。

 

◆内容説明

グラスウールやロックウールは透湿性が高いため
壁内に水蒸気が入れば、外壁側で結露を起こしやすい。

そのため、室内側の防湿材の役割は重要です。

隙間なく、防湿材を連続させることが大事。

ウレタン吹き付け、セルロースファイバーは専門職が施工を行うのに対し
グラスウール、ロックウールは大工が施工する。

断熱の専門職ではないため、細かなところへの配慮が欠ける場合が多い。

 

◆対策

断熱材施工時のチェック。

 

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■(2)編集後記

昨日、タイヤに釘が刺さってました。

2年連続、修理不可でタイヤ交換が必要な位置。
移動途中の修理で、予定が狂いました。

車に乗る頻度が高いので
フロントガラスのひびとパンクは年に1回ほどあります。

運が悪いと、あきらめるしかありません。

事例933「断熱材施工不良」

GW中の平日。
学校はありますが、会社は休みの方が多いのでは。

今日は現場に出ています。

 

■(1)今回の事例______________

「断熱材施工不良」
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防湿材

◆写真解説

グラスウールの防湿材の施工がデタラメ。
柱の内側にとめつけ、継ぎ目は切りっぱなし。

これが原因で壁内に水蒸気が入り結露を起こした。

 

◆内容説明

壁に断熱材を施工すると、内外で温度差が生じ
室内の水蒸気が壁内へ侵入しやすい。

グラスウールは水蒸気を通すため、内壁表面で
湿気を防止しないといけない。

湿気を防ぐ防湿材が付属しているが、施工が間違っている。
また、端切れの断熱材を使用し、継手の処理がされていない。

このような施工は昔はどこでも行われていた。
防湿材の役割を監督や大工が知らないからです。

今でも分譲などではこのような施工を見かける。

 

◆対策

石膏ボードを貼る前に防湿材の施工状況をチェックする。

 

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■(2)編集後記

子供は大きくなると休みでも部活などで忙しい。
お互いの休みが合うのは年々減っています。

1日だけ部活が休みでも、家で体を休めたいようです。

 

GW後半は、相談の予定だけで、現場予定は入れていません。

雑用を片付けたり、セミナー資料の作成などを行う予定です。

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